七夕あまりの暑さと湿気に耐え切れず目に付いたコーヒー店に入る。5人程度の列、思いの外長く待たされ無難にアイスコーヒーを買う。電子決済でレシートを渡されるのがいつも解せない。不要レシート入れもなく蒸し暑さに輪をかけて苛々する。その上今日はレシートと共に何かを手渡された。赤紙。長方形の画用紙に輪になった糸が付いていた。短冊だ。 今日は7月7日だったか。レジで案内されるまま天井から伸びる橙のランプの側へ進むとそこにはくすんだ小さな笹があった。
「When You Wish upon a Star.」と丸文字で書かれた黒板に星の装飾がされてあり、短冊を書くための小さなテーブルが用意されていた。テーブルには色とりどりのマジックと七夕の由来が描かれている様な絵本が置かれている。笹を一瞥するとカラフルな醜い欲ばかりが吊るされていて目眩を覚えた。吊るされた人間の欲の群れ。ふと先月仕事で見た首吊りの現場を連想する。梅雨時の首吊り、この上なく最悪だった。
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