恋蛍 『鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』とある夜。1人でそっと星を眺めていた。
目を閉じると思い出すのはいつも君の姿。
初めて会ったとき、目を奪われた。
僕と同じ髪の色、同じ顔。
でも違うように見えたんだ。
君はとても美しかったし、輝いて見えた。
傷だらけな僕とは真逆だった。
気が付いたら、いつも目を追っていた。
触れて欲しいと願ってしまった。
傍に居て欲しいと願ってしまった。
…そんなの望んではいけない事なのにね。
だからか、君から好きだって言われて、
少し嬉しい気持ちになったよ。
でも僕は…君に対して何も出来ないから、
その気持ちに応えられない、ごめんね。
……君に迷惑かけたくないしね。
それに気を使ってくれているだけだと思うから。
いっそ君の心が見えたらいいのになって考える。
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