「水……」
アジトに泊まっていたベリトは夜中に目を覚ました。
部屋が蒸暑く、飲み物を求めてキッチンにむかい、広間へと戻ってきた。
呑み明かしているメンバーはおらず、広く暗い部屋には静寂の音が響く。
(なんだか不思議な感じだぜ)
普段が騒がしい分、静寂がやけに耳につく。
ふと視線を奥の方に向けると、人が座っているのが見えた。
そこには、ソロモンが座っていた。その頬には薄く一筋に濡れていた。
「……」
ベリトがそっと近寄ると、ハッとしたようにソロモンが素早く頬を拭い振り返った。
「ベリトか。どうかしたのか。こんな夜更けに」
「水。俺様、喉カラカラ」
水を飲み干し、テーブルにコップを置くと、ベリトはソロモンの腕を掴んだ。引かれるまま立ち上がったソロモンをつれ、ベリトはソファーへと向かう。
「ベリト?」
ベリトはソファーの端に座ると、ソロモンを隣に座らせた。
肩から引き寄せ、ソロモンの頭を膝にのせる。
「ベ、ベリト!?」
「俺様の好きにさせろ。眠くなるまで暇つぶしになれ」
ソロモンの腕を腰に回させ、しがみつかせると、ベリトはソロモンの頭を撫でた。
「……鼻息が腹にかかるじゃねーか」
「ごめ……でも、この体勢じゃ……!」
「存分に俺様を堪能させてやる。光栄に思いな」
時に腰を撫で、頭を撫で、背中を優しく叩く。
次第に静寂の中で小さな寝息が聞こえてきた。
ベリトは既に枯れた頬を拭い、ソロモンの上半身を抱き上げて、額に口付けた。
「ふん……」
「部屋までお運びしましょうか」
「うぉっ?!」
振り返るとそこにはアリトンがいた。
「テメェ……いつから」
「運ぶのは貴方のお部屋でよろしいですか」
「……気が利くじゃねーか」
アリトンがそっとソロモンを抱え、2人はベリトの泊まる部屋へと向かった。
翌朝、ベリトのベッドで目を覚ましたソロモンが勘違いして赤面するのはまた別の話。