星芒祭の次の日の朝のはなし目が覚める。
見慣れた天井を仰いだグラスレールは頭を抱えていた。
記憶が、とんでいる。
昨日は星芒祭。
昼間に使者たちの手伝いをした後、所属しているフリーカンパニーでささやかな…ささやかになるはずだったパーティがあった。それは覚えている。
美味しい料理に美味しい酒、賑やかな集まり。とても楽しい空間だったことも覚えている。
丁寧に焼かれたドードーの丸焼きは皮までパリパリでまさに最高品質の出来栄えであったし、デザートのロランベリーチーズケーキは一口食べるだけで笑みが溢れた。そんな最高の料理を肴に頂く酒もまた格別で、普段よりも相当…相当、進んでいた。
そこから先が何もかも曖昧で思い出せない。
記憶はないがアーマーは外しているし、眼帯も枕元に置いてあった。
記憶を飛ばすほど飲んだというのに不思議と頭痛はない。優秀なヒーラーが丁寧なエスナをかけてくれたのだろう。
着替えまでしているということは、介抱してくれたのは恐らく。
「フィアだ。」
グラスレールはまた頭を抱える。
極限まで酒の入った自分がどうなっていたのか聞くのか怖い。顔から火が出そうだ。心拍数も上がっている。
ああ、よりにもよって!
「どうか変な事をしていませんように」
私はまだ酔っているのかもしれない。