先生と珍獣先生がご褒美のつもりでクッキーをあげて、喜んで食べてくれるかなって眺めてたら、珍獣はいそいそと寝床に持ち帰り、綺麗にラッピングして共寝します。
飾られているクッキーを見て「食べないの?」「湿気っちゃうよ?新しいのあるよ?」と先生が声を掛けても珍獣は首を横に振って飾った餌に手をつけない。
「ほら、これ。あーん」小さく千切ったクッキーを口の前に差し出された珍獣は静かに後ろにひっくり返った。
先生は部屋の隅に棲みついた珍獣を気に入っている。珍獣は先生のことを隠れてこそこそと覗き見る癖に振り返ると慌てて視線を逸らして知らんぷりする。巣にグッズを溜め込んでいることは知っているので「サンプルあげるよ」と声をかけてみたこともあるけれど、顔を横に振りしっかりと断わられた。後日、先生の家に珍獣が通販したグッズが山のように届いたので、先生は爆笑した。荷物の受け取りを先生にさせてしまった珍獣は五体投地しながらグッズを受け取り、数日間、巣から出てこなかった。
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