Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    0310kokokoko

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 🐑 😎 👍
    POIPOI 18

    0310kokokoko

    ☆quiet follow

    誰とは言えない先生と珍獣の話

    先生と珍獣先生がご褒美のつもりでクッキーをあげて、喜んで食べてくれるかなって眺めてたら、珍獣はいそいそと寝床に持ち帰り、綺麗にラッピングして共寝します。

    飾られているクッキーを見て「食べないの?」「湿気っちゃうよ?新しいのあるよ?」と先生が声を掛けても珍獣は首を横に振って飾った餌に手をつけない。
    「ほら、これ。あーん」小さく千切ったクッキーを口の前に差し出された珍獣は静かに後ろにひっくり返った。

    先生は部屋の隅に棲みついた珍獣を気に入っている。珍獣は先生のことを隠れてこそこそと覗き見る癖に振り返ると慌てて視線を逸らして知らんぷりする。巣にグッズを溜め込んでいることは知っているので「サンプルあげるよ」と声をかけてみたこともあるけれど、顔を横に振りしっかりと断わられた。後日、先生の家に珍獣が通販したグッズが山のように届いたので、先生は爆笑した。荷物の受け取りを先生にさせてしまった珍獣は五体投地しながらグッズを受け取り、数日間、巣から出てこなかった。

    珍獣は先生のグッズの前で踊っていることがある。先生が帰宅しても気付かないことが多いが、楽しそうなので先生は基本的に放置である。
    新しいグッズが手に入ると、グッズの前に正座して数時間微動だにしないので、流石の先生も心配している。

    珍獣にとって先生は推しなので、推しを愛でる行動の一つとしてコスプレも嗜む。鏡の前でくるくる姿を確認していると先生に見つかって恥ずかしい思いをしたことがある。衣装は手作りで思い入れもあるし、細部まで拘っていたけど「グローブはもうちょっと織り込んだ方がよくない?」と何気なく指摘されて、負けた、と思った。まだまだ精進しようと珍獣は決意した。

    先生はときどき珍獣の名前を呼ぶ。喜んでくれたらいいなという善意からの行動であるが、珍獣は切腹を言い渡された武士のような顔をして先生の前に馳せ参じるので、喜んでいるのか分からない。「呼んでみただけ」と伝えても怒る事なく顔を真っ赤にしてくねくねしているので、嫌がってはいないと思う。
    珍獣は先生の家にお邪魔しているつもりなので、普段は息を潜めている。先生のことが好きだけれど、陰からそっと覗き見るだけで我慢している。ときどき先生に呼ばれると心臓が止まるほど驚くが先生の顔を正面から見つめるチャンスなので慌てて駆けつける。珍獣が叶えられる願いなら何でも叶えてあげる覚悟はあるのに、先生はだいたい名前を呼んでみただけとか、暇だったとしか言わない。そう言う時だけ、珍獣のぷにぷにほっぺを突いてきたりするので、油断はできない。



    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works