誘う男 「……お前、なにしてんの」
風呂から上がると、オレのベッドに腰掛けている村雨がいた。オレが貸したパジャマを着ていたが、下は履いていない……と思う。流石にパンツは履いてると思いたいが、チラッと見えた感じ履いてない気がする。
オレの視線に気付いたのか、脚を少し広げてきやがるから反射で手に持っていたタオルをぶん投げた。思いの外勢いのついたタオルは村雨の顔面に真っ直ぐ飛んでいった。
「……おい、何をする。死にたいのか」
「わ、悪い、つい」
ずるりと落ちたタオルからは瞳孔を開きながらこちらを睨む顔が見えて、考えるより先に謝罪が口から滑り出た。
俺の謝罪にひとまずは機嫌が直ったのだろうが、村雨はそれ以上何も言わずにすらりとした白い脚を組んだ。元々あまり外に出ないのだろう、村雨の身体は日に焼けるなんてものとは無縁なようで、体毛が薄いのもそれを顕著にしていた。いっそ不健康なほど白い生脚は、オレにとっては目の毒だ。タチが悪いのは、この男はそれを知りながらこうしているということだ。
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