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    キラライ

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    キラライ

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    フォーチュンドール本編8

    フォーチュンドール1章8話季節は秋にさしかかったころ、残り一か月半の学校行事も大詰め、生徒たちは活気にあふれていた。10月中頃までに約150組の中から上位30位の中に入ると最終トーナメントに参加ができ、その中でもトップレベルに上がるとかなりいい成績をもらえるため、将来にも期待できるのだという。

    幸たちもそこまではいかないかもしれないが少しずつ勝利をつかみ取っていた。カーマインとミウが前線に立つ形で、幸は指示を出し、唯は作戦を考え、雫は必要な道具を絵に描いて出すのだが相変わらず雫の画力から思ったものは出てこない、この前もせめて自分たちがやられなければ問題ないのではと壁を出そうとしたところこんにゃくだったり豆腐だったりが飛び出してきたのだ。その出てきたこんにゃくに相手が転んで体制を崩していまい、奇跡的に勝ったことはお互い恥ずかしくてとても言えない。

    幸もこの調子ではカーマインとミウに任せっぱなしだし、奴隷のように扱っているとアリサに指摘されないか心配、唯の作戦もパターン化してきたし、どうしたものかと幸は3人の集まる一年生教室で頭を抱えていた。そこの教室に誰かが入ってきた、たびたび幸に話しかけている将信だ。

    「よう、最近勝率も上がっているようだが、調子はどうだ?」
    「こんにちは先輩、戦うというのもなかなか難しいですね。」
    「まぁ、慣れていないとそうだろうな。」
    「先輩は魂を交換する能力でどう戦っているのですか?」

    幸の質問に将信は少し周りをきょろきょろ見渡し、他に誰もいないことやここが教室であることを再確認し、手のひらに地属性魔法で小さな埴輪のような形を作り上げる。

    「俺の戦い方は魔法だ。まぁ、魔導士だからな。特に地属性魔法を使い、これよりはもっと大きいゴーレムを作って戦う。いままでこのゴーレムに自分の魂を入れて戦ってきたんだ。」
    「なるほど、魔法…ですか。」
    「お前の人形も魔法は使っていただろうからそんなに意外ではないだろうけど。」
    「なぁ、先輩!魔導士って何ですか?」
    「魔導士ってのは人種みたいなものだ。生まれつき魔法が使えるがむしろ魔法が使えなければ人権もないような感じだな。まぁ能力者と同じように世間には知れ渡っていないから、この貝森高校でも能力者ではない魔導士は何人かいるんだ。」
    「生まれつき…魔法…が…。」
    「まぁ、魔力の適性があれば一般人でも徐々に魔法は使えるがなかなかそれも難しいかもな。それより本題だ、お前たちは俺を倒せるような作戦を考えれるか?」
    「え?」
    「俺のゴーレムになる戦い方、これに勝てるような戦い方を見つけ出せるならこれからうまく立ち回れると思ってな。」

    幸達3人は驚愕した、ただでさえ数か月前までスライムを倒すことにすら苦戦していたのに、いきなりゴーレムを倒せと言われているのだ。将信は頑張れよと一言の残して教室を去った。そういえば人形たちの中で魔法が使えるのは誰なのだろう?みんな移動のために飛ぶ程度で攻撃するための魔法はやはりアリサくらいだろうか?家に帰ったらアリサに他の人形たちが魔法を使えるか見てもらおうか。とりあえず幸は人形4体を取り出すと話を聞いていたカーマインは乗り気だった。

    「おーほっほ、ゴーレムだろうが何だろうが関係ありませんわ~ボッコボコにしてあげますわ~」
    「でも相手は魔法に特化してるみたいだし何より魂を交換できるとなると一筋縄ではいかないと思うの。」
    「わたくしの力を発揮すれば余裕ですわ~、わたくし達はともかく幸達3人がやられていては元も子もありませぬわね。やはりここは壁となる防御要因が欲しいところですわね~。」

    幸はうつむいた。狙って魔法が使える人形が作れるわけではない上に防御魔法が使えたのはサリアであるからである。サリアの残骸は捨ててはいないものの部屋の片隅に放置したままである。幸は小声でサリアとつぶやくと、壊された時の事を思い出し、涙がぽろぽろと落ちてきた。カーマインは何が起きたのかわからず唖然としているところ、唯が幸を宥める。その時、教室の窓からコンコンとノックをするような小さな音がした。雫がその音に気付き、窓へ向かうと窓の外には灰色の短い髪を左上で軽く縛っている黄色い目でパーカー姿の人形がニコリと笑って雫を見つめていた。雫は人形だし、動いているので幸の関係かと思い窓を開け、その人形が勢いよく中に入ってきた、そして、雫に感謝を述べると幸のもとへ飛び込んでいった。

    「幸―――――!!!やっとあえた!」
    「え?だっ誰?」

    はっと驚いた幸は胸に飛び込んできた灰色髪の人形を見つめる。こんな人形は知らないが、幸に見える魂の世界を見ると幸は目を見開き、その人形を抱きしめた。

    「サリ…ア…」

    状況がわからないカーマインに対して唯が説明していると、幸は変わり果てたサリアの姿に様々な疑問を投げかける。

    「どうしてそんな姿に?そしてそんな明るい口調で…。」
    「魂が残ってたからね、でもそのままだと幸の成長にも影響されちゃうのかな?って思って生まれ変わったのよ~幸にもこんなに明るくなってほしいからね!相手を変えるにはまず自分からってね。サリアの時代は終わり、これからうちの名前はグレーラだよ!」
    「グレーラ、改めてよろしくね。」
    「幸とまた一緒に入れてうれしいよ、魔法は変わってないからいつでも守ってあげるね。」

    幸は安心して、グレーラに笑みを浮かべると、唯から説明を聞いてたカーマインがグレーラに話しかける。

    「つまり、幸のお人形の元祖、というわけですの?」
    「まぁ、うちは幸のお父様から作られたけど自分で改良しちゃった。たしか、みんなは幸が作ったんだよね。」
    「そうよ、じゃあ、わたくし達にとってあなたはおばさんにあたるわけね?」
    「お、おばさんーーーー!?」

    グレーラが驚愕の声を上げると幸達や他の人形達もクスクスと笑った。グレーラは軽く怒り頬を膨らませる。さて、グレーラも仲間に加わったところで作戦会議と戦いの練習をみんなでゲートを開いて行った。少しずつ他の生徒との試合でも勝ち数が多くなっていき、だんだんと自信もついてきた。チームの順位が決まるまであと少し。

    学校を終えて幸が家に帰ると、アリサがリビングで待っていた。アリサは突然家を飛び出したグレーラを心配していたらしく、なんとか合流出来たことに安堵した。

    「人形なんて普通その辺の街を飛び回らないこと、あなたが一番知っているはずでしょ。」
    「えへへ、ごめんごめん、でもなんやかんや心配してくれるアリサってツンデレ~。」
    「はぁ、昔のあなたも嫌いだったけど、こんなテンションで話しかけてくるあなたは何だか気味が悪いわね、昔を知ってると尚更。」
    「あら、アリサお姉さま、昔の彼女を知ってますの?」
    「まぁ、物静かで頑固な過保護者だったわ。」

    カーマインが意外だな~といった感じでグレーラを見るとグレーラは昔は昔、今は今といった感じでにこやかに笑っていた。その後、幸はアリサに対して魔法の使い方を人形たちに教えれるか聞いたところ、そのことについては既に実証済みであることが分かったがアリサほど攻撃的な魔法ではなかった。フェルネリシアがバフの魔法を使えるくらいで他の3人はあまり使えなかったそうだ。バフの魔法も上手く使えば強くなれるかもしれないとアドバイスを受けた。なんやかんやアリサも少しずつ幸に心を開いている気がした。アリサとももっと仲良くなりたいと思う幸はもっと人形たちの力を発揮させることができるよう、努力しようと決意したのだった。

    つづくといいな
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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