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    キラライ

    自創作の過去絵まとめたり
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    キラライ

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    フォーチュンドール本編27

    フォーチュンドール4章5話「そうか、あいつもあそこに来てたか、一発殴ってくるか…」

    世界的な事件がきっかけに起きた魔女狩りの襲撃、その日に夜とクランと戦って大けがをした誉はこの1年半ですっかり回復していた。蛇を崇拝する村の人の中には誉と同様に貝森高校系列の生徒であった者もいるので、貝森特区の様子を鶴花が下見に行ってたのだ。貝森特区には誉の親友もいるというので、誉も貝森特区に足を運ぼうとしていた。そこに夜を見かけたという鶴花の証言から、夜に一発殴る程度に何かしてやろうと企んでいた。

    蛇を崇拝する村には、四天と呼ばれる強者がいる。蛇のパートナーを持たずとも、四属性のいずれかの強力な魔力と実績を持つ者たちで、この者たちもまた蛇を崇拝する村を支えている。そして、この現代に四天の1人である水天に最年少で選ばれたスイも貝森第二高校に通っていたというので、誉は彼女を誘い、貝森特区に行くことになった。スイはかなり強力な魔力を持ち、それは今までの四天でも類をみないほどで、魔女ほどではないが熟練の魔導士よりもずっと高い魔力を持っており、蛇神様の使いであるが現在パートナーがいないため表に出ることができないはずの上級蛇のミズチを、降ろすことができたというだ。これも蛇神様たちの予想外の出来事であったので、誉のパートナーの蛇のロイもこの世代はいろいろ異常なのではないかと混乱しているのである。

    誉はパートナーのロイ、鶴花、水天のスイ、その他貝森特区に行きたい村人たちを引き連れ、貝森特区にやってきたのだ。そして真っ先に、鶴花の言っていた道場の目の前に来た。誉は少し笑みを浮かべながら、スイに頼むぞといい。道場の中に入っていく。その禍々しい集団を見かけたのは遅れて道場に来た澪だった。澪は目を見開き、謎の集団に対し、鏡を向け誉の過去を見た。そこには大量の蛇や、村の光景が映っていたが、何より夜の姿が映っていて、誉と夜の関係を知ってしまった澪は、少し動揺し硬直したが、我に返るとすぐに夜のもとへ向かった。

    硬直している時間があったからか、澪が夜のもとへ向かうと、夜はすでに攻撃を受けた後だった。大量に水をかぶっており、魔力抵抗の高いはずの夜が動けなくなっている。澪は夜を心配し、駆け寄るが振り向くと先程の禍々しい集団は道場から出ようとしていた。大きな音に道場の弟子たちが何事かと集まってきたため、その集団を追いかけることが出来なかった。弟子たちの中にクランもいた。

    「夜先輩!?何があったんですか!?」
    「君、さっきの集団に見覚えはあるか?」
    「集団?そこまで見てなかったんですけど、誰かいたんですか?特徴とか…」
    「特徴…紫と緑の髪のやつが多かったが、先頭にいたやつは薄紫の髪で…隻眼だったな。」
    「誉先輩だ!夜先輩とはとんでもなく仲が悪いんです。互いに殺し合いになるほどに。」
    「そうか、おい兄弟!しっかりしろ大丈夫か…」

    夜は苦し紛れに声を出すがまだ意識はあるようだ。澪は夜を家まで運ぶと言い、夜に肩を貸し、歩かせる。夜は少し意識を取り戻したのか、澪にすまねえと言い、澪に今住んでいる家の道案内をしながら歩みを進めた。道の途中、澪は雫と合流した。雫は今日の特訓は将信の別の用事があったため、早めに終わらせてきたようで、澪とここで合流できたことに驚いていた。また、澪がボロボロな夜と歩いてるのを見て、誰だかわからなかったがすごく心配した。

    「お兄ちゃん…その人は…?」
    「同じ道場の兄弟子の夜だ。ちょっとトラブルがあってな、こんな状態だからこいつの家まで送ってやろうと。」
    「兄弟…妹さんかい?はじめまして。」
    「僕の妹の雫だ。」
    「あ…はじめ…まして…」

    夜は頑張って顔色をよく見せようと口元をにこやかにした。雫はついて行ってもいいか、夜に聞くも、その返事をしたのは澪である。澪は夜の家にも姉がいると聞いていたので、少しでも雫が話せる相手が増えたらいいと思ったのである。そうこう考えているうちに、夜が今住んでいる家についた。雫がインターホンを鳴らすと、同居している姉である、火桜真昼(ひざくら まひる)が扉を開けた。夜の姿を確認すると、真昼は目を見開き、夜の心配をした。

    「夜ちゃん!どうしたの!?と、とりあえず、みんな上がって。」
    「お邪魔します。」
    「失礼…しま…す…」
    「今ここに布団敷くから、夜ちゃんはそこに寝かせて。いったい何があったっていうの?」
    「誉…?ってやつにやられたらしい。集団で襲ってきて僕も向ったところで間に合わなくて…」
    「誉って加々良誉!?もう、あの子にはもう関わらないように昔っから言ってたのにぃ!」
    「あの…そんなに…酷い人…なんですか?」
    「夜ちゃんに呪いをかけた子なのよ。この腕の…あああああああ!!!」

    真昼が説明のために夜の腕を雫に見せようとすると夜の腕の呪いは左肩と右肘にあったものが両腕全体まで広がっていたのである。真昼は動揺するが、澪に落ち着くように言われ、深呼吸する。そして、落ち着きを取り戻した真昼は、キッチンに行き、澪を雫にお茶を出した。ついでに持ってきた菓子折りは皿から山盛りになっていた。

    「あぁ、いきなり来ちゃったんで気にしないでください。」
    「いえいえ~夜ちゃんをここまで運んできてくれてありがとう。夜ちゃんとは仲がいいの?」
    「はい、道場に入った時から仲良くしてもらってます。自己紹介が遅れました、僕は澪、こっちは妹の雫です。」
    「澪と雫ちゃんね。澪のことは夜ちゃんから聞いていたわ。こんなに好青年なんて。」
    「ははっ、ありがとうございます。」
    「雫ちゃんもかわいいわね~。ほらお菓子いっぱいあるからどんどん食べてね!」
    「あ…はい…」

    真昼は澪と雫と話していると顔色がよくなっていた。夜が澪に真昼の事を話す。雫が菓子折りを一つ口に含むと、真昼は次から次へとお菓子を雫に手渡す。夜曰く、真昼は食べさせることがとても好きなんだという。いわゆるいっぱい食べる君が好きである。頃合いをみて断らないと、収拾がつかなくなるらしい。すでに雫がどんどんお菓子を与えられ、困惑していた。澪が雫にそんなにもらって僕の分もあるのかい?と聞くと真昼の標的は澪に切り替わる。雫に与えた分とはまた別に同じくらいの量を澪に与えるのだ。さすがにこの量は食べすぎだろと澪も困惑する。

    「姉さん、そんなにやったら普通驚くからね?」
    「いいのよ。いっぱい食べてほしいんだから~、夜ちゃんはそこで寝てなさい、今マッサージするから。」
    「あぁ、こんなにもらったら二人じゃ食べきれないし、申し訳ないですよ。」
    「いいのいいの!いっぱい食べて!」

    澪が困って目をそらすと、その先に線香が置いてあり、若い女性の写真が近くにあった。真昼がそれを見たことに気付くと、その人物の説明をする。火桜朝(ひざくら あさ)、真昼と夜の姉であり、真面目で男は女より強くあれと夜を育てた人物で、彼女もまた戦闘はかなり強かったという。しかし、出張で何日が家を空けてから帰ってこなかったという。夜はずっと帰りを待っていたけど、当時のニュースでは姉が乗っていたであろう船が原因不明の事故で沈没してしまったという内容で持ちきりだったようだ。澪は線香を立て、合掌すると、真昼は感謝をし、夜のマッサージを始めた。澪と雫はゆっくりしていってとは言われたもののいきなり来たので申し訳ないと思い、頃合いを見て帰っていくのだった。真昼はいつでもまた来てほしいといい見送った。

    つづく
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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