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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    パンそばのタイカケ
    バレンタイン前夜!付き合いたてのイメージです。

    明日はバレンタイン。事務所には俺たち当てのチョコレート、の代わりのファンレターが沢山届いていた。俺たちはソレを受け取り、一緒に読もうということで、カケルの家に向かった。
    「こんなに沢山お手紙貰えるなんて、嬉しいねぇ」
    「そうだな」
     カケルは心底嬉しそうに、手紙を一つ一つ手に取っていた。勿論、俺も嬉しいけれど、正直俺は他のことで頭がいっぱいだった。
     カケルからチョコをもらえるのか。
     カケルはこういうイベントごとは好きだから、用意してくれているんじゃないかと思う。けど、バレンタインは女から男に贈るモノ。今はそういう訳とは限らないけど、果たしてカケルは同じ考えなのかどうかわからない。俺は、カケルに渡すチョコレートを用意している。週の頭から渡すタイミングを見計らい、ずっと鞄に入れっぱなしだ。
    「ねぇね、お夕飯もうちで食べていく?」
    「ん? あぁ、そうだな」
     そう言えば、腹が減っている。家に帰ってもカップ麺しかないし、せっかくならカケルともっと一緒に居たい。
    「僕ね、昨日カレー作ったんだ」
    「お、いいな」
     カケルはそう言うとキッチンに立って、いそいそと準備を始めた。何か手伝うことないか聞いたら、タイガくんは座ってて、なんていう。俺は言われた通り、ダイニングテーブルに腰かけ、じっとカケルを見た。なんか、いいな。こういうの。
    「はい、お待たせ!」
     あっという間にカレーやらサラダがテーブルに並べられた。
     手を合わせていただく。野菜はふぞろいで歪な形のものも多いけれど、味は凄く美味い。
    「すげぇ、美味い」
    「ホント!?」
    「おう!」
     俺はカレーを掻き込んだ。カケルが嬉しそうに俺を見るから、俺も嬉しくなってくる。
    「実はね、隠し味をいれてあるんだ」
    「へー。なに?」
     あんまりよくわからない。まぁ、美味いから何でもいいんだけど。
    「あのね、チョコ、入れたの」
    「ふぅん……。え?」
    「あ、明日、バレンタインでしょ? だから僕、最初からタイガくんを誘ってうちでお夕飯しようと思ってて……。チョコレートそのままだとチャラチャラしてるって言われちゃうかなって、思って……」
     顔を赤らめてモジモジ言うカケルに、胸がキュッとする。おめぇがくれるものだったら、なんだって嬉しいに決まってるし、チャラチャラしてるなんて思わねぇのに。
    「あ、あの……そのぉ、受け取ってくれるかどうかじゃなくて、食べさせちゃう形になっちゃったんだけど……」
    「ありがと。すげけ嬉しい。カケルが、俺にチョコ渡したいと思ってくれていたことが、すごく」
    「タイガくん……」
     ホッとしたような表情を浮かべるカケル。じっと見ていたら、色々我慢できなくなりそうだ。
     俺が残っていたカレーを平らげて、自分の鞄を漁った。
    「タイガくん、どうしたの? お代わりは?」
    「いる。けど、その前におめぇに渡したいものがあんだ。しょ、食後に食えよ……」
     俺はめちゃくちゃ緊張しながら手に入れた小洒落た箱を、テーブルの上に置いた。
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