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    オルト

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    オルト

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    タイカケ。遅れたホワイトデーネタ。

    ホワイトデーを少し過ぎた日の夜、食堂でホットミルクを飲みながら談笑する二つの影。
    「えぇ!? マジで?!」
     ユウの大きな声が食堂に響いた。
    「しーっ!」
     カケルは口元に指をあてて、静かにしてとポーズを取る。ユウはテーブルに身を乗り出して、カケルに顔を近付けた。
    「マジで、タイガのやつ、カケルにホワイトデーのお返し渡したの?」
    「うん。しかも、結構ちゃんとしたお菓子で……プリズムストーンのっぽいんだけど」
    「あのタイガがねぇ……。鞄の中で割れた板チョコとか出しそうなのに」
    「いくら何でもそれは無いでしょ!」
     ユウの言葉に、カケルがクスクス肩を震わせて笑った。いや、ありえそうだ。ムスッよした表情で、頬を赤く染めて、「ん」とチョコを突き出すタイガを想像して、カケルは頬に手を当てた。
    「なぁににやけてんだよ」
     ユウがつん、とカケルの額を突いた。
    「で、何貰ったんだよ?」
    「表示見ると、マカロンっぽいんだけど、まだ開けてなくて……」
    「いや、開けろよ!」
    「なんか、勿体なくて……」
    「賞味期限切れる方が勿体ないだろ!」
     ユウの言葉に、確かに、とカケルは呟く。
    「あとね」
    「うん?」
    「お手紙もついてたんだけど、怖くてまだ見られなくて……」
    「はぁぁ?!」
     再びユウの大きな声が食堂に響く。カケルは思わず両手で耳を塞いだ。反射的にきゅっと閉じた瞳をそっと開く。
    「だって、告白のお返事だよ? 怖いじゃん」
    「カケルはなんて言ってタイガにチョコ渡したんだよ?」
    「え、特に何も……」
    「告白じゃねぇじゃん」
    「いやでも、特別なやつだよ、って言って渡した……から……」
    「それじゃ、タイガに伝わってない可能性高いな。何でもないただの手紙なんじゃね? 例えば、そう、期末試験赤点で追試だから勉強教えてとか。春休みに補習あるって言ってたし」
    「え! それはまずいよ!」
     カケルは立ち上がると急いでマグカップを片付けた。
    「ちょっと、勇気出して確認してみる! 進級できなかったら大変だし!」
     そう言い残し、カケルはバタバタと階段を駆け上がった。

    「……で、何書いたんだよ、タイガ」
    「……俺がいんのわかってたのかよ」
     タイガがふらりと食堂に入って来た。カケルは気付いていなかったが、会話の途中、一度タイガが食堂に入ってきそうになった。すぐに何の話題かわかったタイガは、慌てて階段の影に身体を隠した。ユウはソレをしっかりと目撃していた。
    「なー、わかってたの? バレンタインのカケルの……」
    「わ、わかってる……っていうか、そのつもりだったらいいな、って思って……返事書いた」
    「お! タイガ、そう言うのちゃんとわかるのか! それに返事書く、って……お前、カヅキより上行ってるなぁ」
    「なんでそこでカヅキさんが出てくるんだよ? つーか、俺はまだまだ……」
     タイガは首を傾げながら、頭を掻いた。ユウは数年間返事から逃げているカヅキを見ているせいか、タイガも照れからカケルの気持にちゃんと返事が出来ないのでは? と思っていた。
    「なーなー、何書いたんだよ~」
    「お、教えるかよっ!」
     タイガは顔を真っ赤にして、フンっと鼻を鳴らした。それから少しソワソワした様子で自室へと向かった。
    「なんだよー。気になるし。まぁ、後でカケルに聞けばいっか」
     少しだけ残っていたミルクを一気に流し込んで、ユウは席を立った。
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