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    オルト

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    22世紀蕎麦屋のタイカケ
    小6×高3

    「カケル! カケル!」
    「なぁに、タイガくん」
    「こっち、こっち来て!」
     腕をむんずと掴まれて、俺はタイガくんに引きずられるようにして部屋に入った。今まで一度も入ったことがない部屋だ。いつも僕が遊びに来た時は居間で過ごすんだけど……。
    「この部屋って……」
     学習机、ベッド、くたびれたランドセル、小さな洋服箪笥。本棚には教科書や漫画が無秩序に並んでいて、棚にはゲーム機なども置いてある。そして、その棚の上に設置されたデジタルフォトフレームには、僕が写っている。
    「えっ」
     写真は数秒おきに変化しているが、そのどれもが僕だった。タイガくんと一緒に写っているもの、僕一人のもの、さまざまだ。
    「俺、自分の部屋貰ったんだぜ! だから、これからは俺と二人でここで遊べるぞ!」
     タイガくんは純粋無垢な笑顔で僕を見るけど、僕はフォトフレームが気になって仕方ない。僕がちらちらそちらを見ているから、視線に気付いたタイガくんがそれを手に取って僕の方に向けた。
    「いーだろ! カケルの写真がいっぱい入ってるんだぜ!」
    「な、なんで僕の写真ばっかり……」
     正直言って恥ずかしい。だってこれ、ずっとタイガくんに見られてるってことじゃん……!
    「だって、こうしてればずっとカケルが傍にいるみたいだろ? いつでもカケルの顔が見られる」
    「えぇ……なんか恥ずかしいよぉ」
    「だめか?」
    「いや、ダメ、ではないけど……う~ん……」
     自分がいない間も、タイガくんは僕を見ている。凄く恥ずかしい気持ちになる。けど、嬉しい気持ちもあったりして……。
    「ホントはカケルがいつもとなりにいてくれたらいいけど、帰っちまうから、こうしてる。いつでもカケルが傍にいるみたいだし、いろんなカケルを代わる代わる見られて、凄くイイ」
     嬉しそうにフォトフレームの中の僕を見るタイガくんを見ていると、ダメなんてとても言えない。なんなら、いくらでも写真を撮らせてあげたい気持ちになる。
    「なぁ、カケルの写真、撮っていい?」
    「あ、うん……」
     僕が考えていることが伝わったのか、タイガくんは急に僕にレンズを向けた。僕はそのレンズに視線を合わせるようにして姿勢を正した。撮る、と言われると身構えてしまう。
    「カケル、普通に笑えよ」
    「そう言われてもなぁ」
    「あ、あと好きに取らせてくれるんなら、服脱いで。できればパンツも」
    「は、はぁぁっ?!」
     思いがけない注文に、僕は驚きのあまり大声を上げた。脱ぐ? なんで?!
    「カケルの身体、写したいし」
    「だ、ダメダメダメ! 何言ってるの!」
     最近、すっかり成長したタイガくんは少しませてきている。「そういうこと」も知り始めている。でも、絶対それはダメだ! まだまだ子供のタイガくんに、そんなものを与えてはいけない。
    「ちえ、けちんぼ」
    「そういう問題じゃありませんっ」
     僕はシャツのボタンを掴み、がっちりガードした。タイガくんは脱がすことを諦めたのか、僕に座るように指示を出して、正面に立った。そして、僕を見下ろすように写真を撮った。
    「ん。いい角度」
    「……そう?」
     ん? 待てよ、この状態ってまるで、アレしてるみたいじゃ……。
    「あ! ちょっとタイガくん?! 撮ったやつ見せて!」
    「だめ。これは、誰にも見せない俺だけの写真だから」
     タイガくんはそう言うと、鍵付きの引き出しにカメラを入れて、アッと言う間に鍵をかけてしまった。ピーっと電子ロックの音がむなしく響く。
    「あぁ……」
     どうしよう。あんな角度の写真、まるで……。
     想像して恥ずかしくて、そしてこんな子供にそういう発想があるということに恐怖すら感じる。
    「俺、カケルが思ってるよりずっと成長してるからな」
     そうだ、確かにきっと、タイガくんの言う通りなのだろう。でも、でも……!
     僕はまだ、タイガくんの成長を素直に受け入れられないようだ。この先一体、どうなってしまうのだろう?
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    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563