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    625文字
    ガリカジのタイカケ

    「ねぇね、タイガきゅんなんか機嫌悪くない?」
    「別に、悪くねぇよ」
    「そー?」
     ソファに座る俺の膝に頭を乗せて横になるタイガは、先程から眉間にしわを寄せて、ふぅーっと溜息を吐いている。その度、前髪が揺れて、可愛いおでこが見える。機嫌の悪さを否定してはいるけど、明らかに不機嫌だ。いつもタイガの傍にいるから、わかっちゃうもんね。
    「よしよ~し」
     頭を撫でてやると、タイガは少しムッとしたものの「嬉しい!」というオーラを出した。こういう時、タイガからはふわふわした魔力が溢れ出す。おれはこっそりソレを吸い取って、自分の中に貯めている。
    「なぁ、カケル……」
    「ん?」
    「俺、おめぇが努力家でホントにすげぇと思ってるし、自慢の寮長だと思ってる。それに、お、俺が……カケルの、一番で……腰巾着じゃなくって、俺、カケルの……っ」
    「うん。タイガきゅんが思ってくれてること、ちゃんとわかってるよ」
    「……ん」
     自分の気持ちを言葉にするのがあまり上手じゃないタイガだけど、時々こうして一生懸命伝えようとしてくれる。
     そして、タイガの不機嫌な理由が何となく想像がついた。
    「おれっち、タイガきゅんがそう思っててくれるから、すっごく頑張れちゃう! 俺も、タイガの事自慢の寮生だと思ってるよ」
     そう言ってもう一度タイガの頭を撫でると、タイガが手を伸ばして俺の頬を撫でた。
     やだ、ドキドキしちゃう。こんなドキドキすることしちゃって、いいのかにゃ?
     まぁ、今は二人きりだし……もう少し、触れ合ってもいいかな?
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    TRAINING154日目 1352文字
    付き合ってないタイカケのデート
    今日は天気もいいし、比較的暖かい。気持ちがいいな、と思い窓を開けて外を見るとちょうどタイガきゅんが玄関から出て来た。
    「あ、タイガきゅーん! どこ行くの~?」
     呼び止めるように声を掛けると、タイガきゅんはピタリと足を止めた。くるりと振り返ったタイガきゅんは、どこか嬉しそう。何かいいことでもあったのかな?
    「天気いいし、散歩。おめぇも行くか?」
    「え! いいの!?」
    「ダメなら聞かねぇよ。どーすんの?」
    「行く!」
     まさかタイガきゅんから誘ってくれるなんて、思わなかった。スマホとお財布だけを手にし、部屋を飛び出した。外に出ると、タイガきゅんは穏やかな笑顔で立っていた。あんな顔するんだ。
    「よし、行くぞ」
    「うん!」
     俺たちは並んで、温かな陽気の中歩き出した。

     公園に着くと、子供たちをはじめ、老夫婦や若い恋人までいろんな人でにぎわっていた。移動販売の車では、スイーツや軽食を販売していて、俺たちも軽食を手にベンチに腰かけた。
    「ん、おいしい!」
    「こっちも美味い」
     俺はソフトクリーム、タイガはフランクフルトを買った。甘いものを食べてると、しょっぱいものも食べたくなるんだよね。俺も 1422

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    TRAINING付き合ってるタイカケ。初夜まで道のり通そう。タイガきゅんとお付き合いを始めて早三か月。そろそろ、キス以上のことがあってもいいんじゃないかと思っているんだけど、全然そんな気配はない。俺が一生懸命それらしい雰囲気を作っても、タイガきゅんには全然効いていない。ベッドに座って寄りかかったら、「眠いのか?」なんて聞かれるし、じっと上目遣いで見つめたら「何ガン飛ばしてんだよ。怖くねーけど」とか言われるし、二人きりの部屋で服を脱ごうをしても「暑いのか?」だって! 意気地がないのか、純情すぎるのか……。そりゃ、俺だってキスだけでもすっごくドキドキしちゃうけど……!
     いったいどうしたらタイガきゅんはその気になってくれるだろう? いっそ、正直に先に進みたいと言うべきか? いや、そもそもタイガきゅんはこの先を知ってるの? 俺だって最近調べて知ったのに?
    「うーん……どうしたもんかにゃ~」
     ネットの海で自分と同じ状況の人を探しても、ぴたりと一致する人はいない。それでも、恋人に仕掛ける方法はいくつか見つけられた。
    「何事もものは試しだよね」
     俺は「準備」をすべく、引き出しに仕舞っていたいたローションとゴムを手にトイレへと向かった。

    「ねぇね、タイ 1207