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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    1040文字
    RNVのタイカケ
    あんまりタイカケっぽくないけど、こういう風に始まるRNVタイカケもいいな、と。

    「王子、少し外を見回ってまいります」
    「あぁ、気を付けろ。あんまり遅くなるなよ」
    「はい」
     敬愛する王子に見送られ、私は蝙蝠に姿を変え夜空へと飛び立った。時折こうして街から城にかけての道を見回る。城へ侵入しようとする人間共を始末するために。私に本当の生を与えてくださった王子の為に。子供すら見逃すわけにはいかない。活きが良さそうなのは連れて帰り、食事にする。
    「さて、今夜の獲物は……」
     度々森に迷い込んでくるキャラバンは、最高のご馳走になる。しかし、今夜はそれも無さそうだ。
    「おや……」
     城のすぐ近くに、小さな影を見つけた。そっと近寄って姿を確認する。若い男だ。いい血をしていそう、だが……見覚えがある。そうだ。以前にもここに忍び込んだ盗人だ。性懲りもなくまた来たのであれば、今度こそ仲間にして差し上げよう。
    「やぁ、そこのキミ」
    「っ、誰だ!?」
     彼は顔を上げて、キョロキョロと辺りを見回す。
    「あぁ、この姿ではわかりませんね」
     私は蝙蝠から本来の姿に戻り、彼の前に立った。彼も私を覚えているのか、一瞬驚いた顔をした後、すぐに武器を構えた。私を睨むその瞳は、そこらの人間よりもずっと美しくて手に入れたいと思った。
    「あなた、私たちの仲間になりませんか?」
    「断る」
    「そんなすぐ答えを出さないでください。とても良いですよ、私たちの暮らしは。出来るだけ痛くないように噛んであげますから、ね?」
     彼は思いきり舌打ちをした。
    「人間のことを噛んで、断りもなく仲間にするなんて、許せねぇんだ。どれだけ悲しむ人がいると思ってる。噛まれて喜ぶ人間なんかいねぇよ。まぁ、こんなこと言っても吸血鬼のおめぇにはわかんねーだろうな」
    「…………」
    「なんだよ……」
     思い出す。私が王子に噛まれて、吸血鬼として生まれ変わったあの日の事。本当の生を受けた、あの尊い日の事を。
    「わからない、は、わからないですね。でも、私は吸血鬼に“なって”幸せですよ」
    「“なって”……?」
     彼は眉間にシワよ寄せる。言葉にはしないが、彼の顔には「説明しろ」と書いてある。
     だったら教えて差し上げましょう。かつての私と、王子と出会ってからの私の話を。
     そして、それを聞いたらきっと、この生き方も悪くないと思う筈。私の仲間になりたいと思う筈。もっと私を知りたいと思う筈。
     そして、私のそばで……。
     いや、私は何を考えているのだ。仲間、ではない。使いにするのだ、王子の為に。私の全ては王子の為。私個人が、彼を気になる訳ではないのだ。
     自分にそう言い聞かせ、私は彼に話を始めた。
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    recommended works

    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064

    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563