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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    790文字
    黒薔薇のタイカケ

    「なぁカケル、ここ、ピアス開けね?」
    「えぇ、やだよ」
     俺がカケルの臍を撫でながら言うと、身を攀じて俺に背を向けた。
    「なんで?」
    「なんでじゃないよ。嫌なものは嫌なの。痛いし」
    「優しくやるから」
    「穴開けるのに優しくやるってなに?!」
     カケルは少し噴き出しながら言った。
     カケルのピアスは、全部俺が開けた。最初、何もなかったカケルの耳にピアスを通したとき、「これでカケルは俺のものだ」と直感的に思った。そん時はまだ付き合ってなかったけど、とにかくそう思った。それ以来、俺はカケルにピアスを開けたくて仕方なくなった。付き合いはじめてからも、その気持ちは変わっていない。
     二個目、三個目はカケルも喜んでいたけど、五個目くらいから少し抗議するようになった。まぁ、結局開けさせてくれるんだけど。
    「また、俺の色のピアスやるから、それして」
    「でも、おへそじゃ人に見えないし、開ける意味なくない? 『俺のものだ』って印につけたいんでしょ?」
     そう。カケルの言う通りだ。だからこそ、こういうところに開けたい。
    「いいじゃん。俺が、俺のカケルだって実感してぇし」
    「うわ、自分の為かよ」
    「おめぇも嬉しいだろ?」
    「えー、何それ。えぇ……」
     口ではそう言いつつも、カケルの顔はどこか嬉しそうだ。
    「それに、夏だし海とかプール行ったら腹出すじゃん」
    「そりゃそうだけど、おへそ開けたら暫くプールはダメでしょ」
    「まじかよ」
    「まじまじ」
    「……まぁいいや。入れるようになったら行こうぜ」
     俺は言いながらカケルを抱きしめて臍を撫でる。今度は抵抗されなかった。
    「そのころには冬だよ」
    「じゃあ温泉。バイト代溜めるから、旅行行こう」
    「二人で?」
    「うん」
    「……ふふっ、いいよ。行こうか」
    「ん」
     ちゅ、と音を立てて軽いキスをする。
     ピアスは鞄の中に既に準備してある。シャワーを浴びて、この汗とか諸々でベタベタの身体を綺麗にしてから、また、俺の印をつけよう。
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