2019.12.10
周りがおかしくなった。
僕はおかしくない。おかしいのは皆だ。
だって僕は、男の子だもの。
女の子なんかじゃない。
ハリエットって呼ばないで!
僕はハリーだ!
ハリー・ポッターだ!!
気付いたら、時間が巻き戻っていた。
ダーズリー家の狭い物置部屋に押し込められた状態で目覚めた僕は、ひっそりと涙を流しながらも歓喜した。
大切な人達を大勢亡くして、沢山の犠牲を払って手に入れた筈の平和は、無かったことにされた。それ自体はとても悲しいことだ。
しかし喜ぶに決まっているだろう。死んでしまった人を助けられる、最大のチャンスがやってきたのだから。今でも後悔しているのだ。誰も彼もが、世界の安息の為に戦い、散っていった。一部では、単に邪魔だからという理由で無残に殺された人もいる。
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