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    fgo_sawara

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    小説あげるマン

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    ケイぐだちゃんワンドロお題「初恋」

    にがくてあまい「先生、私……」
     胸を強く締め付ける想いを口に出そうとした瞬間、彼の人差し指が私の唇に触れた。
     この先を聞くことを拒まれたのだと気づいて、失意に瞳を潤ませる。
    「……藤丸さん」
    「せんせ、聞いて……」
     せめて、聞いてほしい。困らせることはわかっているけれど、最後のわがままを受け止めてほしい。
     これで終わりだから。なかったみたいにしないで……。
     懇願するように見上げれば、先生は綺麗な瞳を泳がせた。
    「藤丸さん、貴女にはもっと……ふさわしい人がいるでしょう?」
     心がツキンと痛んだ。
     慌てて瞬きをしても、膨らんだ涙の粒が落ちていくのを止められない。
     白のセーラー服を滑り降り、地面で弾ける透明を見つめていた。
    「い、いません……っ」
     震える声で駄々を捏ね、貴方がいいのだと首を振った。萌葱色はそんな私を静かに見つめている。
     まるで喉が灼けているみたいだ。
     熱くて痛い。これ以上、言葉も出せないほどに。
     彼が何事かを囁いてくれるけれど、耳に入らない。
     今すぐこの場から逃げ出したいのに、彼に縋り付いて離れたくなかった。
     紺のプリーツスカートが、皺になるくらい握り締める。
     聞こえない。聞きたくない。
     愛してやまないその声を、今だけは遠ざけてしまいたかった。
     準備室の窓から差し込むオレンジ色の光は、部屋に舞う粒子を煌めかせる。
     時計の針の動く音だけが響く部屋で、粉々になった初恋を抱いて、ずっとずっと泣いていた。
     
     *******
     
    「……昔の夢をみました」
    「どのような?」
    「ふられました」
    「あー……」
     咎めるような視線を送れば、彼はバツが悪そうに目を逸らした。
     その視界に強引に映り込むように、ずいと身を乗り出す。
    「でも、またあの頃に戻っても、私のことふるんでしょ?」
    「……」
     萌葱色をじっと見つめて、にこりと微笑んだ。
     戸惑う瞳が愛しい。
     二人で選んだ白いソファの上で、戯れ合う時間が大好きだ。
    「立香、私は……」
    「わかってるよ」
     言葉を遮って、その胸に身を寄せる。
     当然のように抱きしめてくれるから、何度だって擦り寄ってしまうのに。
    「私のこと、お嫁さんにする準備が足りなかったんだよね?」
     全部知ってる。
     傷付いて粉々になったはずの初恋が、こうも美しく実ったのだから。
     返答はないけれど、私を抱く手に力がこもる。
     初恋の人は、ただ静かに笑って私に口付けを送った。
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