光に陰るもの「ありゃ、完全に風邪だなあ。」
「そう…ですよね…。」
オレはまた大きなため息をついた。
孫悟空の生きる世界──残された唯一の希望を求めて、オレは過去へ行き悟空さんを生かす道を選んだ。
未だ平和は訪れないものの、緊迫感に包まれながらも皆笑顔を見せるのがオレのいた世界との大きな違いだった。
『必ず何とかしてくれそうな、不思議な気持ちにさせてくれる人なの』
かつての母の言葉が再生される。
実際に、そうなのだろうと思った。それほどまでに世界を燦々と照らす光のような人だった。
「(この人なら、きっと世界を平和にする)」
しかしそれでオレの世界が変わるわけではない。勝利に終わるであろうこの世界から、勝つための手立てを分けてもらう必要がある。そのためにオレは再びこの時代へやってきたのだ。
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