正解を探す話 今日はなんだかずっと魈が落ち着かない様子だった。
「鍾離様」
「どうした?」
魈の呼びかけに応えて目を合わせる。
「あ、いえ」
ほんのわずかな時間、見つめ合う形となるが、魈は緩やかに目を伏せる。
「何でもありません」
「何でもないのか?」
「はい、何でもありません。すみません、何でもないのに呼んでしまいまして……」
「幾らでも呼んでもらって構わないが」
緊張の面持ちの魈を解すつもりで、柔らかく笑む。申し訳なさそうにしながらも、自分が笑うのを見た魈が少し安堵したように、そして嬉しそうに目尻を下げるのを見て、自分も何故か同じような気持ちを持つ。
「では……我は槍の手入れをしておりますので……何か御用があれば呼んで下さい」
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