虹、凪それは依存か束縛か
頭が割れそうな程の痛みを感じて目が覚めた。
と、同時にすぐ異様な雰囲気に気が付く。
何の気配もしない。
確かにもう太陽は高く空に昇り、ジャンやジジイは出払っている時間帯だろう。
しかし凪の気配もしない上、生活音や邸周辺の生き物の気配までしないのは流石におかしい。
目を瞑りなんとか頭痛をやり過ごしながら、俺は凪を探しに階下へ降りた。
台所。いない。
居間。いない。
風呂。いない。
庭。いない。
部屋。…いた。
凪を見つけると同時に邸一帯何の気配もしなかったことに合点がいく。
…今のこいつはとてもではないがまともな状態ではない。
部屋の隅に座り込み、周囲には乾いたばかりであろう洗濯物が散乱している。
目線は何に焦点をあわさることもなく宙をさ迷っており、その両眼からはとめどなく涙が溢れている。
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