裏技コツコツコツ、と背後から足音が近づいてきた。
聞き覚えのある靴音のテンポが急に速くなったと思えば、ドーンと腕にしがみつかれる。
「おっ!? おやおやコレは珍しい」
人懐こい学生風の彼かと思えば、そこにいるのは黒い服に金の装飾を施している第二再臨の彼だった。
ただし表情は人懐こさとは程遠い、えらく真剣に眉を顰めた顔をしていたが。
「どんな風の吹き回し…っでっ!!イッ痛い痛い痛い!!!!」
掴まれた腕の、肘から下をゴリゴリゴリと力の限り揉まれて悲鳴を上げるほどではないが、かなりの痛みに襲われる。
「やめなさいってッ!!痛ったいから!痛いから!」
「アームレスリングで勝負だ」
「は? 人の話を聞きたまえ!!!」
腕を掴んで、すぐそこの自分の部屋に引きずり込まれる。そうそう、丁度私は部屋に帰ろうとしていたところだったので。
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