夢遊病育児放棄を受けていた兄の息子を引き取って、四年の歳月が過ぎた。
あと二ヶ月程で高校受験を控えている甥っ子は、正式な養子縁組を組んだわけではないものの、養父となった私にも何か不満を抱いていたのだろう。
本来ならば親からしたら反抗期というのは面倒だったり、多少なりとも傷ついたりするものだと職場の同僚達は言うが、迎えたばかりのあの子の姿を知っていれば、例え拒絶という形であろうとも何か感情を表に出してくれる事が嬉しくて仕方がない。
しかし、困ったこともある。
ガチャリ
私室の扉が無遠慮に開けられ、トストスと裸足の足音は中へ踏み込む。
「おはよう、いや…まだ今晩は、カナ?」
彼が反抗期へと突入してから、週に一日十分ほど夜中に私を訪ねて来る。
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