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    pasono_ri

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    ぱそのです。ふら〜とイラストを上げてます。
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    pasono_ri

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    タイトルの通りです。2人の関係性は相棒まで。
    降ってきたネタを絵に起こせないと悟り小説という形にしました。

    ##ごすわ

    ttr屋と巻き込まれるakt君と助けに来るhri屋の話 あの夜が明けて数ヶ月が経った。
     KKの持っていた能力を一部受け継いだ暁人は、奇跡的に蘇ったKKと再び出会うことが出来た。儀式を食い止めた麻里の命は取り戻すことが出来なかったが、KKをはじめ、凛子や絵梨花も肉体を取り戻し、現世に戻っていた。
     そして暁人は、チーム「ゴーストワイヤー」の一員としてKKと共に舞い込んでくる怪異関係の依頼をこなす日々を送っていた。
     そんなある日、大学からアジトへ向かう途中に暁人はあの夜感じたものと同じ違和感を感じた。最早癖となった霊視を行うと、近くで穢れの気配がする。
    「…ここかな。」
     夕方になり光が差し込むことのない路地裏、そこかしこに穢れがまとわりついている。
    それを祓おうと再び霊視をした瞬間空気が波立、こちらを吸い込もうと大きな穴が空いた。
    「やばっ…!」
     しかしどこかに捕まる物があるわけではない、暁人はなす術もなくその穴の中へと誘われた。

     暁人が行き着いた先は穢れが空気を侵す重い空間だった。いつだったか、KKを内包していた時に下へ降りて行ったあの異空間のようなーー。
     巨大な穢れを暁人のみでどうにか出来るとは思えず、辛うじてある道をたどった。
    「…あれは、確か」
     上から謎の光が差し込む空間で、丁度想像していた黒装束の姿が見えた。穢れの木に囲まれながら、例の異空間で出会った祟り屋達が儀式めいたことをしていた。
     KKと再会してからも、彼等と出会ったことはない。暁人は同業者たるKK無しで彼等と対話できるかどうか、少しの躊躇いがあった。
     しかしこの空間の事を知っているのは祟り屋しかいないだろう。現に彼等はこの重苦しい空気の中で平然としているのだから。そう自身の迷いを納得させて、暁人は何かを執り行っているその背中に声をかけようとした。
     その瞬間、彼等の執り行う儀式の真ん中から大きな勢いで穢れが溢れ出した。
     ドロドロとした塊は蛇のような形となり、真っ赤に輝く目は祟り屋達の後ろにいた暁人を見つめていた。咄嗟に祟り屋の後ろに居た2人がその勢いを抑えようとするが、蛇は躊躇いもなく暁人に向かっていく。咄嗟に暁人も土の結界を張るが、まだしっかりと霊力に慣れていない身は蛇にとって脅威ではなかった。易々と結界は砕け、穢れは暁人の体内に溶け込んでいった。
    「!!ぐっ…ァ…!」
     自身に起こった事を認識した瞬間、暁人の身体は崩れ落ちた。蹲り、体内で暴れる不快感に思わず咳き込む。吐き出したものを見るとそれは血でも体液でもなく周りにある穢れそのものだった。
     暁人は体の中を蠢く得体の知れない気持ち悪さに動けぬまま、近づいてくる祟り屋達を見上げた。その感情はあの夜と同じ、窺い知れる事は無かった。
    「お前は随分と間の悪い男だな、祓い屋の弟子」
    「…な、にを…」
    「ここは我々の祟り場だ。そしてお前の中にいるのは、これからこの器に入れる予定だった祟りそのもの。穢れが凝縮された怪物だ」
     そう言って印使いは手にした黒い顔のない人形をゆるく持ち上げた。
    「儀式は最終段階だったが、どうやらお前は穢れにとって好ましい精神の器なようだな。何もない器より純粋な心を選ぶのは、穢れを助長する上で道理だ。…だが、これは事故だ。我々としても祟りが人間に取り憑きそのまま呪物になるなど看過できん。」
     祟り屋の言っていることを半分ほど理解しつつも、体の中を焼くような痛みと、誰かの恨みや苦しみが頭を占領し、ボロボロと涙が溢れだす。得体の知れない何かに体をどうこうされる等、暁人には耐えられない。言うことを聞かない体を何とか動かし、暁人は悪霊を払う時に使う札を手に取に取った。しかし印使いの手がそれを静かに制した。
    「自分で自分の中のものを祓おうとしても、今のお前では精神が持たん。…お前の師匠を呼び寄せるまで、我々が真似事をしてやろう。苦しむことになるが、自身を無くすよりマシだろう」
     感情の読めない面を見上げながら、暁人は声も出せずに一つ頷いた。

     その頃KKはアジトで暁人の合流を待っていた。だが約束の時間になっても暁人は姿を現さない。
    KKは精神がざわつく感覚に眉を顰め、口に咥えていたタバコを携帯灰皿に押し付けた。その目線の先には何の連絡も無いスマホがある。
     普段の暁人なら、何か予定が入ったらKKにまず連絡をする筈だ。それはKKも、エドや凛子たちも分かっている事だった。
     KKはソファから腰を上げ、モニターを見つめる凛子の背中に声をかけた。
    「アイツが連絡もなしに約束すっぽかすとは思えねえ。ちょっと辺りを探してくる」
    「ええ。依頼にあった場所はまだ様子見をしておくわ。彼に何かある方が心配だもの」
    「そうだな。…もし何かあったら連絡する」

     いつもと違う事が起きている、ただそれだけでない違和感を覚えていた。自身の魂が、細く震えているような。
     あの夜にKKと暁人は文字通り二心同体となった。その時に強く刻まれた魂の繋がりは、未だ2人を結びつけている。だが今感じる物は繋がっている安心感とは程遠い、不安定な物だった。
     KKは暁人の魂との繋がりを頼りに渋谷の街を歩きだした。人通りのある中だが、KKにはそのモヤのような繋がりが確かに見えている。
     そしてそのモヤを追って辿りついた先は、なんとも不気味な路地裏だった。KKは、表とは違う雰囲気に、暁人が何かに巻き込まれた事を確信した。
    警戒しながら暗がりへと足を踏み入れ、慣れた手つきで霊視を行う。すると微かに残っていた暁人と思しき思念が路地裏で何かに吸い込まれている様子が見えた。これはまた盛大に巻き込まれたな、と大きなため息を吐き、KKはスマホを手に取った。
     その瞬間じわりと壁や床が滲み、KKは咄嗟に飛び退きエーテルを右手に纏わせる。だがそこに現れたのは暁人でも化け物でもなく、祟り屋の弓使いだった。
    「オマエ、祟り屋か。こんなところで何してる」
    「呼ぶまでも無く来たか」
    「質問に答えろ。…暁人は何処だ」
     自分の口から思っていたより低い冷ややかな声が出た事を、KKは心の隅で他人事のように感じていた。だが目の前で相棒だと、大事に思っている人間がいなくなっているのだ。とてもじゃないが丁寧に聞く気など最初からない。
     弓使いはそんなKKを意に返さず、徐に札を地面に落とした。札の周りの空間が波立ち、薄く発光して異空間への入り口となる。KKにはその入り口が、槌蜘蛛を追いかけたあの空間のものと同じものに見えた。
    「お前の弟子はこの先にいる」
     弓使いはあっさりと答えを示し、その入り口に吸い込まれていった。
    「おい!待て…!クソッ」
     KKは咄嗟に弓使いの腕を掴もうとしたが、その手は空を切った。祟り屋が絡んでいる事柄など、絶対に面倒で仕方ない事だ。よりにもよってそんな事柄に暁人は巻き込まれたのだ。すぐに突き進もうとする体を、微かに残った理性で止め、KKはスマホに連絡事項を打ち込む。凛子達に場所と何かに巻き込まれた旨を伝え、それに既読が付く前にKKは入口へと飛び込んだ。


     目の前に広がった光景は想像よりはるかに悪かった。どこもかしこも穢れに覆われている中、自身の大事な片割れが囚われているのだから。五芒星の印が地面に描かれ、それぞれの点に棒使いが持っているような物が立てられている。その棒の上部から祟り屋の鎖が伸び、印の真ん中にいる暁人の身体を縛り付けていた。その胸には余り馴染みのない札が貼られている。
    「…っ!おい!暁人!!」
     暁人はその中で力無く座っていた。意識が朦朧としているのかKKが叫んでもほとんど反応を示さない。KKはグッと拳を握り締め、見知った傘を被る印使いに詰め寄った。
    「テメェ!!何だこの状況は!暁人に何してんだ!!」
    「来たな、祓い屋。説明すると長くなるが…我々も彼を助けようとしているんだ」
    「ああ?!」
    KKに胸ぐらを掴まれながらも、口調を変える事なく印使いは淡々と答える。それはKKの精神を逆撫でし、自然とKKの手に力が籠った。
    「彼の中には今、とても強力な祟りの元がある。多くの穢れを吸い、他人に害を為す物だ。今は完全に融合してしまうのを抑えている」
     暁人の中にいる祟りは、おそらくただ祓っただけでは彼との繋がりを切らない、暁人は祟りにとっての餌のような状況だと印使いは説明した。
    どうしてそんな危険な状況になったのか、大いに文句を言いたいが時は一刻を争う。KKは印使いの体を離し、一つ舌打ちをした。
    「じゃあ、暁人の身体から追い出してからが本番って訳か?」
    「完全に引き剥がすには戦闘は避けられない。先に言っておくが、我々としてもこれは本意では無い。援護はしよう」
    「オマエらが余計な事するから起こった事だろ。そんなの当たり前だ」

     KKは覚悟を決めて、印の中にいる暁人に近寄る。「暁人、しっかりしろ。まだ飲み込まれるんじゃねえぞ」
    やはり暁人からの反応は無いが、その頬を撫でる。手に感じる体温にKKは少しばかり安心した。
    「絶対に、助けてやる」
     そして胸に付けられていた札を剥がし、新たに札を貼る。中にいるモノを祓う為の札だ。体を強張らせた暁人に目を細めて、KKは流れるような所作で力強く印を切った。
     すると金切り声をあげて暁人の体から穢れの蛇が大きく体をくねらせて空中に出ていった。苦しんでいる様子だが、長い体の先は暁人とまだ繋がっており、無限に伸びていく。悪霊を思わせるギラギラとした赤い目が憎らしげにKKを捉えた。
    「その目障りな繋がり…、ぶった斬ってやるよ、化け物」
     KKは右手にエーテルを纏わせ、射るような目つきで蛇を睨みつけた。
     蛇はドロドロと穢れを溢しながら、素早く縦横無尽に祟り場の中を泳いでいる。風のエーテルショットでそれを捉えてはいるが、その勢いを止めるほどではない。KKが舌打ちすると祟り屋が我々で動きを止める、とジェスチャーをした。KKは狙いを定める弓使いを横目に、蛇の動きが単調になるようにエーテルを連続で撃ち込んで誘導していく。蛇がこちらに突進しようとする最中、弓使いの放った矢が蛇の目を射抜いた。
     大声をあげて蛇はのたうち回るが、未だ地に着ける事はできていない。KKは矢が穿たれたところに向かって狙いを定めた風の弾丸を撃ち込んだ。それにより暴れ回る勢いが緩んだ蛇を、跳躍した棒使いが上からはたき落とした。轟音を響かせながら、蛇は勢い良く地面へと叩きつけられる。
     再び動き出す前に、KKと印使いが蛇の側に駆け出していく。印使いが見たことのない印を切り、蛇を糸のような物で地面へと縫い付ける。体を固定された蛇はそこから暴れることすらできずに蠢いていた。KKは最大限に霊力を込めた焔の塊を、その蛇の眉間へと投げつけた。
     一等大きな爆発音の後、穢れのコアが大きく露出していた。すかさずKKはそのコアをワイヤーで捉え、両手で力の限り引っこ抜いた。
     あたりにエーテルの煌めきが反射する中、暁人と繋がっていた穢れは完全に消失した。

     重苦しい鎖を外させ、意識を失っている暁人を抱き上げる。その顔は青ざめており、霊力を穢れに吸い取られていたことが見て取れた。KKは暁人の手を取り、自身の霊力を暁人に送りながら、祟り屋の方を見る。
    「これの落とし前はどうつけるつもりだ?」
    「お前の弟子がここに来たのは偶然でしかない。だが巻き込んだことは事実だ、祟りの源を失ったのは痛いが、一つ借りを作ったということにしよう」
    「…チッ。お前らの面倒ごとを処理する係じゃねぇんだ。仕事ならもっと関係ない所でやれ」
    「そうだな。気をつけよう。だがその弟子にも危機感を学ばせたほうがいいぞ、祓い屋。それは穢れや冥界のものにつけ込まれやすいからな」
    「………ああそうかよ。助言痛み要るな」
     KKは苦虫を噛み潰したような顔をして、眠る暁人を見下ろした。先ほどよりも穏やかな顔をしているが、いつまたこんな事に巻き込まれるか分からない。癪に障るが、祟り屋の言う事は本当の事なのだろう。KKは暁人の体を抱え直し、暁人をどう守っていくか、その術を考え直す必要があると決意を新たにした。
     そうこうしている内に、祟り屋が来た時と同じ様に現世への道を開いた。KKは暁人を抱えながらその中に飛び込んだ。
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