誰かの代わりになれなくても 夜中に、燃えるような暑さを感じて目が覚めた。部屋の中は真っ暗で、月明かりが僕たちを照らしている。時計を見ようと身体を動かしたが、上手く寝返りが打てなかった。僕の身体を固定するように、背中に何かが張り付いている。
その、肌と肌の触れているところが、燃えるような熱を放っていた。身体から汗が吹き出して、Tシャツが張り付く感覚がする。お腹へと回された腕も、同じくらいの熱を放っている。喉がからからに渇いていて、息を吸う度に気道に違和感を感じた。
喉の渇きに耐えきれなくて、僕は布団を持ち上げた。隙間から冷たい風が流れてきて、火照った身体を冷ましてくれる。背後からの拘束から逃れようと、回された腕を引き剥がしてみる。抜け出せそうな隙間が出来たと思ったら、再び力強い腕で抱きつかれた。
1895