日記 風呂から上がり、身支度を整えると、僕は洗面所の扉を開けた。籠っていた空気が外に流れ出し、冷たい風が室内に入り込んでくる。扉を全開にして空気を入れ換えると、今度は廊下へと足を踏み出した。薄暗い廊下を通り抜けつつ、青年の待つリビングへと足を向ける。
しかし、廊下の奥にあるはずのリビングからは、一切の灯りが漏れていなかった。入り口から室内を覗いて見るが、青年の姿はどこにもない。ここにいないとなったら、残りの選択肢は彼の部屋だけだろう。踵を返して暗闇に背を向けると、僕は目的の部屋へと足を向ける。
案の定、家の隅にある彼の部屋には、煌々と灯りが灯っていた。部屋の主であるタッグパートナーの青年が、学習机の前に腰を下ろしている。真剣に手を動かしているところを見ると、何らかの作業をしているようだ。室内に足を踏み入れると、僕は彼の背中に声をかける。
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