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    流菜🍇🐥

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    チームニューワールドが集合写真を撮る時にルチにだけ踏み台が用意されてモヤモヤするだけの下らない話です。この前の23時の画像を見て書きたくなってしまいました。

    ##本編軸

    集合写真 人気者になるというのは、楽なことではない。その日、任務で訪れた建物を見て、ルチアーノはそう思った。
     彼らチームニューワールドは、撮影スタジオを訪れていた。本格的な機材が並び、プロのカメラマンが常駐している、モデル御用達の施設である。世界的有名チームとしてインタビューを受けた彼らは、そこで雑誌に掲載される写真を撮ることになったのだ。
     彼らが案内されたのは、こじんまりとした撮影スペースだった。テレビ番組の撮影シーンでよく見るような、オーソドックスな撮影スタジオだ。スペースの前には、雑誌のスタッフやカメラマンが待ち構えていた。
    「よろしくお願いします」
     チームのマネージャーとして雇われている男が、代表らしき男性に声をかける。男性はちらりと彼らを見ると、にこやかな笑顔で返事をした。
    「よろしく」
    「チームニューワールドの皆さんはこちらへ」
     スタッフに案内され、三人は撮影用のスペースへと移動する。大柄な二人が後ろに並び、ルチアーノが前に出る位置取りが、彼らの定番になっていた。緑の布の前に立つと、いつもと同じように佇んだ。
     大柄な男が二人も並んだことで、スペースは一瞬にして満員になった。こんなんで撮影ができるのかと訝しみながら、ルチアーノはカメラを見据える。カメラマンがモニターを操作すると、何度かレンズを覗き込んだ。
     撮影は、まだされなかった。カメラマンが機材から手を離すと、近くにいたスタッフを手招きする。駆け寄ってきた男性スタッフに、耳打ちで何かを話した。
     何があったのだろうか。そう思って見ていると、男はルチアーノの方に視線を向けた。背後の二人とルチアーノの姿を見比べると、淡々とした声で言う。
    「ルチアーノくんは、台に乗ろうか」
     ルチアーノは耳を疑った。目の前の男が告げた言葉が、彼には理解できなかったのだ。首を傾げていると、スタッフが踏み台らしきものを持ってきた。
     そこまできて、彼はようやく理解した。ルチアーノの小さな身体では、後ろの二人と高さが合わないのだ。同じレンズに映すために、彼らはルチアーノを台に乗せようとしているのである。
     数人のスタッフが、慣れた手付きで台を設置しようとする。その姿を見て、ルチアーノは不満そうに唇を尖らせた。
    「別に、そんなもの要らないよ。後ろの二人が屈めばいいだろ」
     彼の発言に、スタッフたちが苦笑した。ルチアーノの元まで歩み寄ると、優しい声で語りかける。
    「そうはいかないんだよ。雑誌の撮影は何枚も撮るから、ずっと屈んでたら疲れちゃうんだ」
     子供に話しかけるような声色に、彼は余計に腹を立てた。この男は、自分をなんだと思っているのだろう。正体を明かせないことがもどかしかった。
    「でも……!」
     反論しようとすると、ホセが一歩踏み出した。二メートル越えの長身でルチアーノを見下ろすと、低い声で諭す。
    「ルチアーノ」
     リーダーに諭されたら、それ以上の反論はできなかった。プラシドの子供を見るような視線も不快で、仕方なく言葉を引っ込める。
     しかし、スタッフの男性は踏み台を横に動かした。不服そうなルチアーノの様子を窺いながら、機嫌を取るように言う。
    「じゃあ、少しだけそのまま撮ってみようか。写真を見てから、踏み台を使うか考えようね」
     スタッフの男性が、カメラマンに合図を送った。機材の準備が整えられ、レンズが三人に向けられる。
    「では、撮りますよ」
     カシャカシャと音を立てながら、レンズが三人の姿を捉えた。正面から撮影すると、今度は斜め前からレンズを構える。
     何枚か撮り終えると、カメラマンはモニターに画像を映した。二人の大男と一人の正面を写した画像が、大画面に表示される。
     三人は、モニターの前に歩み寄った。目の前に並んだ写真を見て、ルチアーノは何も言えなくなった。
     ルチアーノの姿は、写真から切れていた。二メートル越えの大男を捉えようとすると、彼らの腹部までしか背丈のないルチアーノは、画面から外れてしまうのだ。反対に、ルチアーノを捉えようとすると、二人の大男は画面から外れてしまう。どうすることもできなかった。
    「分かっただろう。お前には踏み台が必要だ」
     プラシドの勝ち誇ったような声が、頭の上から響いてくる。悔しさに襲われて、ルチアーノは強く唇を噛んだ。
    「分かったよ。台に乗ってやる」
     頬を膨らましながら、ルチアーノは撮影スペースに戻っていく。用意された台に乗ると、彼の頭はプラシドの胸元に並ぶほどになった。
     スタッフたちが、安心したように胸を撫で下ろしているのが分かる。彼らも、仕事を全うするために気を使っていたのだ。
    「では、撮りますよ」
     カシャカシャと音を立てて、カメラマンが写真を撮っていく。言われるがままにポーズを決めながら、ルチアーノは不満を抱えていた。
     どうして、自分は子供の姿をしているのだろう。プラシドとホセは長身の大男なのに、ルチアーノだけが未成熟な子供の姿をしている。この外見のせいで、彼は子供扱いばかり受けているし、取引の際には見下されることまであった。どうせなら自分も成人の姿が良かったと、何度考えたか分からないことを考える。
     撮り終えた写真は、編集で背景をつけられて雑誌に掲載された。当たり前ではあるが、写っているのは胸から上だけで、踏み台は少しも写っていない。ルチアーノの頭は、プラシドとホセの胸元に並んでいた。
     写真に目を通すと、ルチアーノはすぐに雑誌を閉じた。屈辱を感じて、これ以上見ていたくなかったのだ。
     どうして、神はルチアーノを子供の姿に造ったのだろうか。自身の器のことを考える時だけは、絶対的であるはずの主人のことを、少しだけ厭んでしまうのだった。
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