カップルカフェ「明日は、君にお願いを聞いてもらおうかな」
僕がベッドの隅に腰を下ろすと、ルチアーノは楽しそうにそう言った。時刻は夜の九時を過ぎていて、ちょうど入浴を済ませたばかりである。突然の言葉に、僕は状況が理解できなかった。疑問符をいくつも浮かべながら、窺うような視線で彼を見る。
「え?」
「お願いだよ。この前約束してただろ。僕が君のお願いを聞く代わりに、君が僕のお願いを聞くって」
「…………ああ、そういえば、そうだったね」
彼に諭されて、僕はようやく思い出した。少し前に、僕たちはそんな約束をしていたのだ。子供を対象にしたカード配布イベントの特典をもらうために、僕はルチアーノに合言葉を言うように頼んだ。渋る彼を説得するために、自分もお願いを聞くことを提案したのだ。
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