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    流菜🍇🐥

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    TF主ルチ。ルチに強制腕枕をさせられる話。人の上に乗ってくる動物みたいなイメージで書きました。

    ##TF主ルチ

    甘美な拷問 寝苦しさを感じて目が覚めた。身体に妙な重みがかかっていて、腕を動かすことができない。金縛りじゃないかと思いながら、なんとか首を動かしてみる。頭から上だけを駆動して、部家の中を見渡した。
     深夜らしく、部屋の中は真っ暗だ。壁掛け時計の文字盤は影になっていて、時刻を確認することはできない。月明かりが僅かに差している以外は、部家の中を照らす光源はないのだ。この暗さから察するに、丑三つ時と呼ばれる頃合いだろう。
     身体に力を入れて、起きている症状を確かめる。下半身に力を加えると、両足は問題なく動いた。左半身も、腕はちゃんと動いている。右の肩から下だけが、金縛りにあったように固まっていた。
     不思議に思いながら、僕は目の前の人影を見る。隣では、ルチアーノがすやすやと寝息を立てていた。布団の中に潜りんでいるから、どのような体勢をしているのかは分からない。ゆっくりと布団を捲り上げて、違和感の正体を理解した。
     ルチアーノが、僕の腕を枕変わりにしていたのだ。金縛りのように感じた違和感は、頭を乗せられたことによる重みと痺れだったのだ。よく見ると、背中を丸めて僕の胸元に顔を押し当てている。小さな手のひらは、僕の寝間着を握りしめていた。
     彼がすうすうと息を吐き出す度に、かけられた布団が柔らかに上下する。恐る恐る頭に触れてみるが、目を覚ます気配はなかった。髪に触れると、甘い声で寝息を漏らす。
     こうして眠っていると、ルチアーノは年相応の子供のようだ。いつものような悟った言動もなければ、狂気的な笑いも無い。ただ、穏やかな顔をして、体力の回復に専念している。
     相当深く眠っているのか、彼は頭を撫でても目を覚まさなかった。珍しさを感じて、頬にまで手を伸ばしてしまう。柔らかい肉をつねってみても、瞳が開くことはなかった。
     僕は、しばらく彼の寝顔を眺めていた。こんなに無防備な姿は、なかなか見られない。貴重な姿を拝んで起きたかったのだ。
     そうしているうちに、問題が起きた。彼の下敷きにされていた右腕が、感覚を失ってきたのだ。頭部の重みに耐えきれなくて、血流が滞っているのだろう。一度、体勢を変えたかった。
     僕は、ルチアーノの頭に手を伸ばした。頭と腕の間に手を押し込むと、ゆっくりと頭を持ち上げる。彼が目を覚ましていないことを確認すると、ゆっくりと手を引き抜いた。
     感覚を失っていた腕を、ゆっくり折り曲げる。曲げ伸ばしを繰り返すと、じわじわと感覚を取り戻してきた。それと入れ替わるように、関節の辺りがじんじんと痺れる。痺れはすぐに広がって、右腕全体を支配した。
     痺れた腕を庇うように、僕は体勢を変えた。ルチアーノの身体を離すと、仰向けになるように寝返りを打つ。薄暗い天井を眺めながら、感覚が収まるのを待った。
     不意に、隣から衣擦れの音が聞こえてきた。眠っているはずのルチアーノが、布団の中で身体を動かしている。寝返りを打つのだろうかと思っていたら、不意に腕を掴まれた。
    「っ……!」
     痺れが腕を駆け抜けて、思わず息をついてしまう。ルチアーノは、容赦なく僕の腕を引きずった。シーツの上に腕を伸ばさせると、勢いよく上に頭を乗せた。さっきよりも大きな痺れが走って、口から小さな呻き声が漏れる。
    「うぐっ……」
     僕は、ルチアーノに視線を向けた。こんな意地悪をするなんて、彼は目を覚ましているのではないかと思っただ。しかし、布団を持ち上げて見ても、彼の姿はさっきと変わらなかった。安らかな寝顔を見せたまま、僕の腕を下敷きにしている。よく見ると、片方の手で僕の手首を固定していた。
     血流の阻害された腕が、じんじんと痺れを伝える。しばらくすると、再び頭が胸元に押し付けられた。柔らかい温もりが肌に伝わるが、今はそれどころではない。下敷きにされた腕が痛くて、ご褒美に集中できなかった。
     隣で寝息を立てるルチアーノを見ながら、僕はあることを思い出していた。インターネットで見かけた、動物を飼っている人の動画投稿である。
     秋になって気温が下がると、犬や猫のような動物は飼い主の上に乗るのだという。人間と触れ合う肌の体温で、暖を取ろうとするのだ。彼らは一度人の上に乗ると、何度下ろされても、飼い主が場所を移動しても、後をついては乗ってくるらしい。下ろされては乗ってを繰り返すペットと飼い主の攻防戦を、動画投稿サイトで観たことがあった。
     今のルチアーノは、まるで暖を取るペットのようだ。何度腕から下ろしても、繰り返し繰り返し乗ってくるのだろう。僕にできるのは、黙ってそれを受け入れることだけだ。
     動物の飼い主たちは、それを甘美な拷問だと称していた。僕にとっても、これは甘美な拷問なのだろう。恋人の温もりと甘い匂いを感じながら、痺れる腕の苦痛に耐えなければならないのだから。
     僕は、そっとルチアーノに視線を向けた。彼は、僕にぴたりとくっついたまま、安らかな寝息を立てている。彼が安心して眠れるのなら、こんな苦痛は大したこと無いような気がした。
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