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    流菜🍇🐥

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    #お互いがお互いを罵倒しないと出られない部屋に入れられた夢カプ
    こちらのタグをTF主ルチで書きました。ルチの一方的な精神攻撃です。作中の罵倒は全部TFでボイスがあります。

    ##TF主ルチ

    お互いを罵倒しないと出られない部屋 目を覚ますと、そこは真っ白な部屋だった。辺り一面は白い壁に囲まれ、正面にはテレビほどの大きさのモニターがついている。簡易的なものなのか、部屋には家具というものが一切無い。固い床に寝かされて、僕の身体は強ばっていた。
     隣からごそごそと衣擦れの音が聞こえた。視線を向けると、ルチアーノがゆっくりと身体を起こしている。部家の中を見渡して、呆れたように声を上げた。
    「また、この部屋かよ。今度はなんだ?」
     すっかり慣れきってしまっていた。誰がやっているのかは知らないが、僕たちは何度もこのような部屋に閉じ込められている。今さら驚くこともなかった。
     彼の声に答えるように、モニターが文字列が表示される。そこには、このようなことが書かれていた。
    『お互いを罵倒しなければ出られない部屋』
     ルチアーノは黙って画面を見つめる。眉を大きく歪めると、呆れたような声で僕に言った。
    「また、奇妙なお題だな。君の差し金なのかい?」
    「違うよ」
     慌てて否定してから、もう一度目の前の画面を眺める。確かに、奇妙なお題だ。誰が考えているのだろう。
    「じゃあ、さっさと脱出するぞ。君から僕を罵倒しろ」
    「えっ?」
     急にぶつけられる無理難題に、僕は頓狂な声を上げてしまった。彼といると、こういう声ばかり上げてしまう。観測者にバカなやつだと思われてないだろうか。
    「当たり前だろ。君は罵倒が下手なんだから」
    「ちょっと待ってよ。どういう理屈なの?」
    「理屈いいから、とっととやれよ」
     よく分からなかったが、こうなったら従うしかない。ここまで言うのだから、先にやりたくない理由があるのだろう。彼の方が罵倒が上手いからだろうか。
    「分かったよ。……えっと、『ルチアーノの馬鹿』」
    「子供かよ」
     思いきって言うと、間髪入れずにツッコミが飛んでくる。本気の罵倒をすると怒るくせに。僕の好意をなんだと思っているのだろう。
    「ほら、僕は罵倒したよ。今度はルチアーノの番だ」
     無理矢理バトンを渡すと、彼はにやりと笑みを浮かべた。自信満々な顔を見せると、胸を張りながら宣言する。
    「君は罵倒が下手だからな。僕が見本を見せてやる」
     その言葉を聞いて、僕はようやく彼の意図を理解した。彼は、お手本ごっこがしたかったのだ。こんな状況すら娯楽にしてしまうなんて、危機感のない子だ。
    「いいかい、ちゃんと聞いてろよ」
     呆れる僕をよそに、彼は言葉を続けた。大きく息を吸うと、はっきりした声で言葉を発する。
    「『お見通しなんだよ!』『これでお仕舞いにしてやるよ』『邪魔なんだよ!』『間抜けなやつめ!』『だからお前はダメなんだよ!』…………」
     すごい迫力だった。彼の対戦相手は、いつも此のようなことを言われているのだろう。本心じゃないと分かっていても、心が抉られるような言葉の数々だ。龍亞が彼を嫌う理由が少し分かったような気がした。
    「おい、何泣いてんだよ」
     目の前から、ルチアーノの慌てたような声が聞こえた。頬に手を当てると、熱い水が垂れている。彼の罵倒を浴びせられて、僕の瞳は涙を流していたのだ。
    「ごめん。迫力がすごかったから……」
    「泣かれたら、僕が悪いみたいじゃないか。本気で思ってるわけじゃないんだから、安心しろよ」
    「分かってるよ」
     答えながら、僕はモニターに視線を向けた。電源の落とされたモニターは何も映していない。罵倒し合ったにも関わらず、条件を満たせていないようだった。
    「開かないな」
     ルチアーノが呟く。視線を向けると、彼はじっとりした目で僕を見ていた。
    「やっぱり、僕だよね」
     冷たい視線を感じながら、僕は呟く。ルチアーノは罵倒のプロなのだ。これくらいの条件くらい、簡単に満たせるはずである。となれば、原因は僕としか思えなかった。
    「馬鹿、だけじゃダメみたいだな。もっと何か言えよ」
    「そんなこと言われても……」
     僕は困ってしまった。急に振られても、僕は罵倒なんてしたことがないのだ。必死に頭を捻らせながら、彼に投げ掛ける言葉を探す。
    「じゃあ、いくよ。…………ルチアーノの馬鹿! ドS! 意地っ張り! 万年友達ゼロ!」
     必死の思いで絞り出すと、彼は急に雰囲気を変えた。さっきよりもさらに冷たい視線を向けると、いつもからは考えられない重低音で言う。
    「最後のは余計だろ」
    「えっ……?」
     どうやら、友達のことは地雷だったらしい。あまり詳しく聞いたことはなかったが、彼なりに気にしていたのかもしれない。
     そんなことをしていると、画面が点灯した。白い背景の中に、『stage clear』の文字が浮かび上がる。ガチャリと音がして、背後で扉の鍵が開いた。
    「開いたよ」
     話を反らすように、僕は扉の方を示した。ルチアーノの冷たい視線を感じながら、扉の向こうへと歩く。外は、真っ白な廊下に繋がっていた。微妙な顔をしながらも、彼は素直に後ろを付いて来てくれる。
    「君は、あんなことを思ってたのか?」
     僕の隣を歩きながら、ルチアーノが拗ねたように言う。そんなに気にしていたなんて、予想もしていなかった。
    「本心じゃないよ。それに、ルチアーノは友達なんていらないんでしょ。だったら気にしなくていいじゃん」
    「『友達がいらない』のと『友達がいない』のは、全く別のことだろ。そんなことも分からないのかよ」
     拗ねたような声でルチアーノは言う。なんとか繕わなければ、不機嫌になってしまうだろう。頭を巡らせると、必死になって言葉を探した。
    「僕は、ルチアーノに友達がいなくてよかったと思ってるよ。僕が独り占めできるから」
     そう言うと、彼はようやく顔を上げた。にやにやと笑みを浮かべながら、僕に視線を向けている。
    「ふーん。君もなかなかに独占欲があるんだな」
     嬉しそうな声を聞いて、僕はようやく胸を撫で下ろす。なんとか機嫌は取れたようだ。これなら、後のことも怖くないだろう。
     長い廊下を抜けると、その先は外に続いている。光を目指すように、僕たちは先へと歩を進めた。
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