隠れる「今から、任務に出るぞ」
ある日の夜、食事の片付けを終えると、ルチアーノは唐突にそう言った。
「えっ?」
突拍子のない発言に、僕は間抜けな声を上げてしまう。思わず窓の外に視線を向けるが、カーテンから覗く景色は真っ暗で、眩い街灯が輝いている。デュエルや工作をするような時間には思えなかった。
「こんな時間に、どこに行くの? もう真っ暗なのに?」
問いかけると、彼は呆れたように息をつく。チラリと僕に視線を向けると、気の抜けた声で答えた。
「真っ暗だからだろ。一目を避けて行動するのなら、人が少ない時刻が一番だ」
「そっか」
そう言われたら、納得するしかなかった。いくらイリアステルが万能の力を持っていると言っても、目立つ行動は避けたいのだろう。WRGPも近いから、町には暗示の効かない相手も訪れている。うっかり鉢合わせたりしたら、計画そのものが台無しになってしまうかもしれない。
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