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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    流菜🍇🐥

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    TF主とルチがパンケーキを食べに行く話。注文したものが反対に提供される系のシチュは永遠に見ていたい。

    ##TF主ルチ

    パンケーキ テレビをつけると、夕方のニュースが流れていた。一人暮らしの静寂を無音のまま過ごすのは寂しいから、僕はよくテレビをつける。最近はデュエルばかりしているから、この時間帯のニュースが貴重な情報収集の場でもあった。
     今日のバラエティコーナーでは、シティに新しくオープンしたカフェの宣伝をしていた。都会を中心に出店しているおしゃれなカフェで、パンケーキとワッフルが売りらしい。画面に映るのはクリームと果物がたっぷりのパンケーキで、見るからにおいしそうだった。
     テレビの中では、若い女性アナウンサーが店内を取材している。背景に映るお客さんも若い女の子ばかりで、客層の偏りがはっきりと分かった。ちらほらと男性の姿も映っているが、ほとんどが女の子連れのアベックだ。男ひとりで来ている人は、誰一人いなかった。
     アナウンサーの女性が、近くの女の子にインタビューをする。彼女が食べているのは、ストロベリーのパンケーキだった。二段に重なったふわふわのパンケーキの上に、これもふわふわのホイップがたくさん乗せられている。その上に転がっているのは、小さくカットされた苺の果肉たちだ。果肉はパンケーキを転げ落ち、お皿の上にまで広がっていた。
     僕は画面を見つめた。女の子のインタビューが終わり、ターゲットはカップルに移っていく。女性が食べているチョコレートパンケーキも、クリームがたっぷり乗せられていた。チョコレートソースやココアパウダーもかけられていて、贅沢なメニューである。隣の男性が食べているのは、食事系のパンケーキらしい。上に乗っているのは、切り分けた照り焼きだった。照明を反射したソースがテカテカと光って、とてもおいしそうに見えた。
     僕は、机の上に置かれていた端末を手に取った。店名を検索すると、予約フォームを開く。テレビで放送されているからか、通信環境は少し重い。何度か入力をやり直しながら、二週間後の平日に予約を取った。
     もちろん、こんなお店に一人で向かうことはできない。男一人でパンケーキ屋に行くなんて、周囲の目が気になるからだ。
     後は、同行者を説得するだけだ。そんなことを考えながら、僕は端末を机に戻した。

    「で、その店に入るのに、僕に付いてきてくれって言いたいのかい?」
     僕の話を聞くと、ルチアーノは面倒くさそうにそう言った。ソファの上に腰をかけて、尊大な態度で足を組む。
    「そうなんだ。さすがに、パンケーキのお店に男一人で入るのは抵抗があってさ。食事代は奢るから、一緒に来てくれないかな?」
    「嫌だよ。そもそも、パンケーキってやつは甘いものなんだろ。なんでそんなものを食べないといけないんだよ」
     鋭い視線を向けながら、ルチアーノは冷たい声を発する。その言葉の内容は、僕が予想していたものだった。彼は甘いものが好きではないから、この手の同席は必ず拒絶から入る。一つ一つ言葉を否定して、付いてくるための口実を作らなければいけないのだ。
    「ルチアーノは、パンケーキを甘いだけの食べ物だと思ってるでしょ。実は、そうじゃないんだよ。こんな感じに、食事系のパンケーキもあるんだ」
     そう言いながら、僕は端末を彼に差し出した。画面には、予約したお店のメニュー画像が映されている。ページを捲ると、食事系のパンケーキが現れた。
    「ふーん。パンケーキに照り焼きなんて乗せて、ちゃんと合うのかね? 人間は物好きだなぁ」
     端末を手に取ると、彼はページを捲る。食事系のメニューは少ないから、次のページは別のメニューだった。
    「パンケーキは甘くないから、おかずを乗せたら食事になるんだよ。これなら、ルチアーノにも食べられるでしょ」
     僕が言うと、ルチアーノは呆れた様子で顔を上げる。じっとりとした視線が僕を貫いた。
    「だから自信満々だったんだな。そんなもんで、僕が付いてくると思ったのかい?」
     彼の言葉に、僕は何も言えなくなってしまった。この点を明かせば、彼は来てくれると思ったのだ。断られた時のことまでは考えていなかった。
    「図星かよ。そんなことだと思ったぜ」
     僕の反応を見て、ルチアーノはケラケラと笑った。尊大に肘を置くと、上から目線な態度で言った。
    「いいぜ。付いていってやる。暇潰しくらいにはなるからな」

     目的の店舗は、繁華街の真ん中にあった。ビルの一階が店舗になっていて、おしゃれな看板が立てられている。女性に人気のお店らしく。出入りするお客さんは女性ばかりだった。
    「ここだな」
     そう呟くルチアーノは、女の子の格好をしていた。赤い髪をくるくると巻いて、青いワンピースに身を包んでいる。顔には、ほんのりと化粧が施されていた。
    「しゃあ、行こうか」
     扉を開くと、店内に足を踏み入れる。店員さんに予約した旨を伝えると、真っ直ぐに店内に通してくれた。
     予想通り、店内は女性がほとんどだった。男性の姿も見えるが、一人で来ている人は一人もいない。ルチアーノに同行を頼んで良かったと、心の底から思った。
    「女ばっかりだな。一人でここに来てたら、目立って仕方なかっただろうね」
     にやにやと笑みを浮かべながら、ルチアーノは僕に囁く。楽しそうな表情だった。
    「だから、ルチアーノに頼んだんだよ」
     答えながら、僕はメニューを広げた。並んでいる画像は、お店のサイトで見たものと全く同じだ。パンケーキのページを開いたまま、ルチアーノの方に差し出す。
    「僕は決まってるから、ゆっくり選んでね」
     彼は、メニューを受け取らずに押し返した。真意が分からずに見つめ返すと、小さな声で言う。
    「内容は覚えてるよ。見る必要はないね」
     店員さんを呼ぶと、メニューを指差しながら注文を伝える。僕はストロベリーのパンケーキを、ルチアーノはベーコンエッグパンケーキを頼んだ。
    「それにしても、君って本当に甘いものが好きだよな。そんなに食べてたら太っちまうぞ」
     店員さんが去ると、ルチアーノがにやにやと笑いながら言った。女の子の格好をしていても、笑顔はいつもと変わらない。何度も見ているはずなのに、不思議な気分になってしまった。
    「大丈夫だよ。僕は運動してるから」
    「本当か? 油断してると、急に太ったりするかもしれないぜ」
     他愛の無い会話を交わしながら、パンケーキが焼き上がるのを待つ。こうしていると、周囲の環境も相まって、まるでデートに来たみたいだ。いつもと変わらない日常のはずなのに、少しドキドキしてしまう。
     お喋りで時間を潰していると、さっきとは違う店員さんがパンケーキを持ってきた。大きなお盆の上に、ストロベリーのパンケーキとベーコンエッグのパンケーキが並べられている。彼女は僕たちの席で止まると、澄ました声で定型文をを告げた。
    「お待たせいたしました。ストロベリーパンケーキとベーコンエッグパンケーキです。」
     一つ一つ慎重に持ち上げると、品物を僕たちの前に並べる。しかし、僕の前に置かれたのは、ベーコンエッグパンケーキだった。流れるような仕草で、ストロベリーのパンケーキをルチアーノの前に置く。小さく一礼すると、キッチンの方へと戻って行った。
     彼女の背中が見えなくなってから、ルチアーノが目の前のパンケーキを見つめる。しばらく沈黙すると、冷めきった声で呟いた。
    「僕は、苺を食べるような顔に見えたってことだな」
     僕には、彼のフォローができなかった。今のルチアーノは、どこからどう見ても小学生の女の子だ。苺のパンケーキと食事系のパンケーキだったら、苺のパンケーキが似合うだろう。
    「なんか言えよ」
     黙っていると、機嫌を損ねたように僕を睨み付けてきた。肯定も否定もできないから、話を切り上げてごまかす。
    「とりあえず、温かいうちに食べようか」
     お皿をトレードすると、ナイフとフォークを手に取った。パンケーキを切り分けて、口の中に運んでいく。集めのパンケーキは、生地がふわふわとしていて美味しかった。苺と生クリームもたくさん乗せられているが、さっぱりした味をしているから負担にならない。いくらでも食べられそうだった。
     ルチアーノも、優雅な仕草でベーコンを切り分けている。小学生の女の子とベーコンエッグのパンケーキは、少し不釣合で新鮮な光景だった。ついついまじまじと見つめてしまい、冷たい声で注意される。
    「僕を見てないで、自分の分を食べろよ」
     机の上には、パンケーキ用のメープルシロップが置かれていた。苺と生クリームを食べ尽くすと、メープルシロップをかけながら残りのパンケーキを食べた。
     食事を終えると、会計を済ませて外に出る。店内で順番待ちをしている女の子が、僕たちの方をちらりと見ていた。ルチアーノが見つめ返すと、慌てた様子で目を逸らす。彼はこういうところがあるから、放っておくと心配なのだ。
    「パンケーキ、おいしかったね」
     声をかけると、ルチアーノはちらりとこちらを見上げた。僕の顔を見上げると、冷めた声で言う。
    「そうか? まあまあだったと思うけどな」
     相変わらず、かわいくない返事だった。彼がまあまあだと言うのなら、それなりには良かったのだろう。彼は忖度というものをしないから、好みに合わなかったらはっきり言うのだ。
    「また一緒に来てくれる?」
     尋ねると、今度はしっかりとこちらを向いた。緑の瞳を向けると、小さな声で言う。
    「気が向いたらな」
     今度は、彼をどこに連れて行こうか。そんなことを考えながら、僕は帰路をたどったのだった。
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