恋のはじまりの日 洗面所を出ると、真っ先にリビングへと向かった。少し肌寒い廊下を通ると、リビングへと青年を呼びに行く。僕にはあまり関係はないが、彼は寒暖差に弱いらしい。ソファの上には座る青年は、膝の上に毛布を被っていた。
「上がったよ」
声をかけると、彼は生返事を寄越してきた。チラリとこちらを見ただけで、動く気配は少しもない。僕が隣に座っても、その視線はテレビに向けられたままだった。何を見ているのかと視線を移すと、テレビのバラエティ番組が流れている。
画面の中では、一組の男女がインタビューを受けていた。どうやらカップルであるらしく、交際に至るまでの過程を根掘り葉掘り聞かれている。告白はどっちからといった定番の質問から、好きになったきっかけまで、内容は多岐に渡った。
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