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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    TF主ルチ。TF主くんがルチをくすぐった結果因果応報を受ける話です。少しですが流血描写があります。

    ##TF主ルチ

    くすぐる その2 タンスの上に視線を向けて、埃が溜まっていることに気がついた。掃除道具入れの箱を開け、ハンディサイズのモップを取り出す。椅子を踏み台にして高さを合わせると、上に乗っている埃を拭っていく。床に落ちないように気を付けながら、残りの埃を拭き取った。
     椅子から降りると、モップを持って食器棚の上を覗き込む。予想通り、ここも埃が積もっていた。椅子の上に乗ると、埃を拭って綺麗にしてあげる。ついでだからと、部屋中の埃を掃除した。
     高いところの掃除を終えると、モップを綺麗にして箱の中へと片付ける。蓋を閉じようとして、何かが引っ掛かってることに気がついた。飛び出している柄の部分を掴むと、ゆっくりと引き抜く。それは、先が羽の形をしたはたきだった。新品同様で、羽の部分にはビニールが被せられている。
     そういえば、少し前にこれを使ったことがあった。ルチアーノのいたずらで、僕がくすぐられたのた。息が絶え絶えになっても許してもらえなくて、死にそうになったのを覚えている。そもそも、どうして彼はここにこれがあることを知っていたのだろう。
     そんなことを考えて、ふと、ある考えにたどり着いた。この前は僕がルチアーノにくすぐられただけだったが、ルチアーノにはくすぐったいという感覚があるのだろうか? 彼は機械の身体を持っているが、感覚は人間に近い。試してみるまでは、どちらとも断言できなかった。
     先端に被せられたビニールを外すと、毛先の様子を確かめる。汚れがついている気配はなく、感触は柔らかかった。これなら、ルチアーノに使っても大丈夫だろう。
     僕ははたきを手に取ると、自分の部屋へと戻った。ベッドの下に手を伸ばし、スキンシップのための道具箱を取り出す。直視するのは恥ずかしいものとの間に隠すように、その道具を押し込んだ。

     夜が更けた頃、僕たちはベッドの上に寝転がった。ぴったりと身体をくっつけて、お互いの体温を感じ合う。スキンシップをしてもしなくても、僕たちはこうして身体を寄せ合う。僕が始めたことだけど、いつの間にか習慣になっていた。
    「ねぇ、ルチアーノ」
     僕は、隣に横たわる少年に声をかけた。僕に背を向けるように、身体を布団に包んでいる。身じろぎひとつせずに、気の無い返事をした。
    「なんだよ」
    「ルチアーノに、試したいことがあるんだ」
     そう言うと、ようやく彼は視線をこちらに向けた。衣擦れの音を立てながら、身体を捻ってこちらを振り返る。緑色の瞳が、光を反射して冷たく輝いた。
    「試したいこと?」
     彼の瞳に射抜かれて、僕は少し緊張してしまう。真っ直ぐに見つめ返すと、心臓がドクンと音を立てた。これから、僕はルチアーノに変なことをお願いするのだ。いつものことだけど、拒絶されるのではないかと心配になってしまう。
    「ルチアーノのことを、くすぐってみたい」
     噛み締めるようにゆっくりと、僕はお願いの言葉を発した。ルチアーノは、なぜか何も答えなかい。部屋の中を重たい沈黙が満たしていく。時計の針の進む音だけが、カチカチと音をたてていた。
    「何か言ってよ」
     そう言うと、彼は僅かに顔をしかめた。絡み付くような瞳で、真っ直ぐに僕を見つめてくる。
    「嫌だよ。こういう変なプレイを要求してくる時は、何を言っても君を喜ばせることになるんだろ? そうと分かってて、僕が返事をすると思うかい?」 
    「そんなことで喜ばないよ。ルチアーノは、僕をなんだと思ってるの?」
     言い返すと、彼はにやりと笑みを浮かべた。からかうような声を出すと、僕に顔を近づけて言う
    「君は、僕にからかわれるのが好きな変態なんだろう? 違うのかい?」
    「違うよ!」
     慌てて否定するが、妙に白々しく聞こえてしまう。本当に、僕は変態ではないのだろうか? 改めて尋ねられると、あまり自信がなかった。
    「ルチアーノは、機械の身体をしてるでしょ? くすぐったいって感じる感覚があるのか、調べてみたいと思ったんだよ」
     反論を抑えるように、僕は言葉を続ける。にやり笑いを保ったまま、ルチアーノは尊大な態度で言った。
    「そこまで言うなら、理由として認めてやってもいいぜ。好きにしな」
     僕はベッドの下に手を伸ばした。道具箱を引き寄せると、中から羽はたきを取り出した。用意周到な僕を見て、ルチアーノが顔をしかめる。
    「そこまでしてやりたかったのかよ。気持ち悪いやつだな」
    「そんな顔しないでよ。ちょっと準備してただけでしょ」
     そう言いながらも、僕は被っていた布団を捲った。ルチアーノの上半身に手を伸ばすと、ひとつずつ寝間着のボタンをはずしていった。身に纏っていた布地をずらすと、白い肌を露出される。平らなお腹の上に、そっと羽の先を乗せた。
     手首を動かすと、羽の先がさらさらと揺れる。生き物のように揺れる茶色の羽を、僕は真上から見下ろしていた。それはお腹を這い、ゆっくりと胸元に上がっていく。ルチアーノの表情を見るが、あまり変化は感じられなかった。
    「どう? くすぐったい?」
     尋ねると、彼は僅かに顔をしかめる。くすぐったいという感覚が分からないのだろう。煮え切らない返事が返ってきた。
    「変な感じだな。拒絶反応とかはないけどさ」
    「やっぱり、あんまり感じないのかな?」
     今度は、さっきよりも距離を取って手を動かしてみた。柔らかい羽の先が、触れるか触れないかの距離で肌をくすぐる。人間であればくすぐったいはずの触れ方だが、ルチアーノは反応を示さなかった。
    「……なんか、掃除されてるみたいだな。それって、元々は掃除道具なんだろ?」
     彼に言われて、僕は手元に視線を落とした。確かに、はたきをもって表面をなぞっている姿は、掃除をしてる人にも見えるだろう。ルチアーノはアンドロイドだし、本人が一番そう思っているのかもしれない。
    「じゃあ、もうちょっとくすぐったくなる場所にしようか」
     はたきを置くと、中途半端に脱げていた寝間着に手を伸ばした。片方ずつ袖を通すと、完全に上半身を露出させる。人間がくすぐったいと感じるのは、首の周辺や腋の下だ。そこをくすぐれば、彼にもこの感覚が分かるかもしれない。
     はたきを手に取り、顎の下に羽の先を触れる。手首を小刻みに動かしながら、首の周りをくすぐった。感覚が乏しいのか、目に見えて分かるような反応はない。やはりだめなのかと思い始めた時、彼に変化が現れた。
    「ひゃっ…………?」
     唇から、戸惑ったような声が漏れる。身体がぴくりと跳ね、ベッドの上をぐらりと揺らした。戸惑いの表情を浮かべたまま、小刻みに身体を動かしている。零れ落ちた吐息は、僕にも聞き取れるほどはっきりした嬌声になった。
    「ひゃっ…………あっ…………んんっ…………」
     甲高い声を上げながら、ルチアーノは身体を捩る。くすぐったがっていることが恥ずかしいのか。顔を真っ赤にしながら声を抑えていた。手の動きを早めると、彼の身体の動きも激しくなった。ごそごそと音を立てながら、必死に声を押し殺している。
     僕は、はたきを動かしていた手を止めた。くすぐりから解放されたルチアーノが、安心したように息をつく。その真っ赤な顔を見下ろしながら、笑みを堪えて声をかけた。
    「くすぐったいの?」
     彼は、はっとした顔で僕を見た。両目を大きく開くと、恥ずかしそうに首を左右に振る。なぜかは分からないが、強がっているようだった。
    「じゃあ、もっとくすぐっちゃおうかな」
     そう言うと、今度は腋の下に毛先を触れた。手首を小刻みに動かして、一番弱いところを刺激する。
    「ひゃあっ…………」
     今度は、もっとはっきりした声だった。大きく身体が跳ね、ベッドのスプリングが軋む。アンドロイドの身体を持っていても、脇の下はくすぐったいのだ。そう思うと、なんだか不思議な感じがした。
    「ひゃっ…………やっ……んっ…………やだっ…………」
     甘ったるい声を上げながら、彼は必死に身を捩る。空気を含んだ吐息も相まって、なんだかいけないことをしてるみたいだった。下半身に熱が籠り、ドクドクと音を立てる。一度火がついてしまうと、もう止められなかった。
    「やめっ…………やめろってっ…………」
     必死な声が、じりじりと僕の脳を溶かす。それでも、僕は止める気にはならなかった。ルチアーノがこんなに乱れる姿なんて、滅多に見られないのだ。からかわないと損だと思った。
    「くすぐったくないんでしょ。なら、やめなくてもいいよね」
     僕が言うと、彼は真っ赤な顔で首を振る。消え入りそうに小さい声で、必死に言葉を捻り出した。
    「くすぐったい…………くすぐったい…………からっ…………」
    「どうしたの? 聞こえないよ」
     意地悪をしながら、僕は手を動かし続ける。相当くすぐったいようで、ルチアーノは両手を伸ばして抵抗してきた。空振りする腕をかわしながら、何度も首筋を往復する。その度に、彼はやみくもに手を動かした。
    「くすぐったいんだよ……! やめろばかっ……!」
     振り回された腕が、僕の顔に直撃する。ごつんと音がして、痺れるような痛みが伝わった。はたきを手から落として、慌てて顔を抑える。かなり強く当たっていたみたいで、じんじんと熱を放っていた。
    「いっ…………」
     あまりにもの痛みに、思わず声を上げてしまう。心なしか、顔を押さえた手まで熱くなっている気がした。手を離すと、手のひらが赤く染まっていた。
    「わっ…………」
     鼻から溢れた血液が、僕の顔と両手を汚している。ポタポタと垂れる液体が、ルチアーノの肌を赤く染めた。お腹の上に垂れる熱に、ルチアーノが小さく息を飲む。頬を赤く染めたまま、気まずそうに言葉を発した。
    「僕は悪くないからな。何度もやめろって言ってただろ」
     僕は、慌てて鼻を押さえた。流れる血を塞き止めると、枕元のティッシュを手に取る。手についた血液を拭うと、顔についた血液を拭き取った。広がってしまった血液は、ティッシュを貼り付かせるだけで落ちてはくれなかった。
    「ちょっと、顔を洗ってくるね」
     一言だけ告げるとベッドを降りて洗面所へと向かった。先に手を洗ってから、濡らしたタオルで顔を拭っていく。血が止まる気配がなかったから、円柱状に丸めたティッシュを鼻に詰めた。
     部屋に戻ると、うつぶせの体勢で布団の中に入った。仰向けに寝たら、垂れた血が喉に入ってしまう。血に濡れたティッシュを取りかえる僕を見て、ルチアーノが気まずそうに言った。
    「…………悪かったよ」
    「気にしないで。元はと言えば、意地悪をしようとした僕が悪いから」
     そう言うと、ルチアーノは少しの間だけ黙りこんだ。ゆっくりと僕に背を向けると、諭すような声色で言う。
    「これに懲りたら、悪いことを考えるのはやめるんだな」
     ごもっともな言葉だった。何も言い返せなくて、僕は静かに血が止まるのを待った。
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