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    Aqours0517

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    Aqours0517

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    🎈🌟♀ 団トル♀

    この前ツイートしたメイドトルペの小説加筆ver

    トルペとお届け物休日の朝、雨に打たれながらもトルぺは胸に荷物を抱えて、急いで街中を走っていた。
    何故かというと、前日、他の団員に頼まれ、団長の家にお届け物をする事になり、家を出て数分のところで大雨が降った。
    曇天の空を見て、さっきまで晴れていたのに...ついていないと思い、傘を買おうとお店に駆け込んだのだが、団長の屋敷へ往復する電車賃しか持ち合わせておらず、傘を買う余裕がないという不運も重なってしまった。
    がっくりと肩を下ろし、この後どうするか考えた結果、雨がいつ止むかもわからないし、身体が濡れて体温が下がっているのでこのままだと風邪を引いてしまうかもしれない。
    風邪を引かないうちに早く届けて帰ろうと結論を出し、電車に乗り、最寄駅で降りた。
    そして今、最寄駅から走って屋敷に向かっているのだが、大雨で衣服が張り付くくらいに濡れて気持ち悪い。
    団長の住まいは市内の目立つお屋敷で、話によると使用人が何人もいるのだとか。
    場所も前日に調べて、団員から建物の特徴も聞いているから問題はない。
    走って数十分後、目的の屋敷に辿り着いた。
    「ここか...。」

    こんなびしょ濡れの格好で会うわけには行かないから、使用人に荷物を渡して一言伝言を伝えて後は帰る。そうシュミレーションして、門の前でよし、と小さく呟き、チャイムを鳴らした。
    はぁ、はぁ、と走ってきて乱れた呼吸を落ち着かせながら少し待つと、門前から傘を差したメイドが、出てきた。
    よし、これであとは要件を伝えるだけ。
    「あの、ぼ、ぼく...」

    「ああ、あなたが今日から働く新人のメイドね。もう、初日なのにこんなに濡れてしまって...。このままだと風邪をひいちゃうじゃない。大変、早くシャワーを浴びて着替えさせないと!」

    「え、え?」

    メイドはぐい、とトルペの腕を引っ張り屋敷の中に引きずり込んだ。

    このメイド、性格は良く思いやりもあるのだが慌てん坊で勘違いしやすいと有名なメイドであることはトルぺの知る由もない。
    更衣室にに連れられ、「あの、あの?」と困惑しているうちに無理やり衣服を脱がされ、シャワー室に押し込まれてしまった。

    「うぅ...。よくわからないけど、シャワーを浴びさせてくれるみたいだし、まぁ、いいのかなぁ...?」

    シャワー室の外から
    『制服を外に置いて置いたから、それに着替えてきて!』と聞こえてきた。
    ん?制服?着替えじゃなくて?と疑問に思ったが、勢いのある台詞に押されたトルペは
    「わ、わかりました!」と返事をして、シャワーのコックを捻った。
    暖かいシャワーの粒が身体に当たって気持ち良い。
    そうだ、メイドにバスグッズを押し付け...渡されたから折角だし、身体も洗ってしまおう。そう思い、ボディーソープのポンプを押し、新品のスポンジに浸し、泡立てた。
    「このスポンジすごい、少ししか出してないのにこんなに泡立つ...!」
    後でこのスポンジ貰えないだろうかとズルいことを考えながら石けんの良い匂いがする泡だったスポンジを腕に押し当てて、ごしごしと優しく擦っていく。
    泡を洗い流し、次は頭を洗おう。そう思い、置いてあったボトルからシャンプーを出そうとしたのだが。

    「シャンプーってどれだろう...。」

    ボディーソープはラベルに書いてあったので判別できたが、ボトルがいっぱいあってどれがどれだかわからない。
    トルペは滅多に使わないが、コンディショナー、リンスとあるから間違わないようにしないといけない。
    頭に疑問符を浮かべながらシャンプーを探している。

    「消去法でこれにするか....。」

    とりあえず目の前にある高そうなボトルを掴んで小さく1プッシュした。
    泡だてば多分シャンプーのはずだと思い、泡だててみたがぬるぬるして一向に泡立たない。
    これはおそらくジャンプーではない。

    「これはハズレか、じゃあ次...」

    一度洗い流し、別のボトルを1プッシュして泡だててみた。
    最初はぬるぬるしていたが、途中から泡だったのでおそらくこれがシャンプーだ。
    シャンプーを泡だてて、髪を洗っていく。
    泡を流して、せっかくなのでトリートメントかリンスかコンディショナーだと思われる液体のボトルをプッシュし、髪につけて洗い流す。
    これも良い匂いがするからトルペの手の届かないくらいに高価なものなのだろう。

    「ふぅ、気持ちよかったぁ...、えっと、着替えは....。」

    数分後、シャワー室から出たトルペは置いてあった着替えを手に取り、広げた。
    紺色のワンピースだった。
    早速着替えようとしたが、下に何かまだある。
    白色のエプロンにフリルのついたカチューシャ。
    トルペはピシリと固まった。
    そこに置いてあったのはただのワンピースではなく玄関で出会ったメイドが来ていた服と同じエプロンドレスだった。
    つまりメイド服だったのだ。

    「え...?え!?」
    タイミング良く戻って来たさっきのメイドがひょっこりと顔を出した。

    「ごめんね、リボン忘れてた。そうだ、パンツは新品のだから安心して使ってね。ブラはサイズがわからなかったからないんだけど、代わりに別のものがあるから、今日はそれで我慢して!」

    「へ!え?そういうことじゃ...」

    「それじゃあ私は準備があるからちゃんと髪を乾かして待っててね!」

    メイドはトルペにリボンを渡し、要件を言うとまた風のようにどこかに行ってしまった。

    「(うぅ...。どうしよう...元に着てた服は濡れてるからって洗濯されちゃったし...、これを着るしかないよね...。)」

    仕方なく身体に巻いていたタオルを外し、用意されていた新品のMサイズのパンツと未開封のSサイズのハーフトップブラジャーの封を開け、下着を身につけた。
    若干、ハーフトップブラジャーよりもパンツのサイズが大きいのが不服だが、優秀なメイドの目利き通り、悲しいことにピッタリだった。
    半袖のワンピースを着て、白色のエプロンを見に纏い、ワンポイントである赤チェックのリボンを首襟に身につけた。

    さっきのメイドにはこのリボンではなく白いスカーフに綺麗な翠色の石のブローチが付いていたような気がするが、デザイン違いだろうか。

    「(このベルト、なんていうんだろう?つけるの難しい。あ、説明書が置いてある。こうかな?)」

    レースのついた白い手袋をはめ、スカートを捲り、置いてあった説明書通りにガーターベルトと膝まであるハイソックスを身につけ、最後にヒールの入った黒いシューズを履き、鏡を見ながらメイドブリムと呼ばれる両端に白いリボンがついた白いカチューシャを身につけた。

    「わかっていたよ。うん。やっぱりどう見てもメイドさんの格好だよね...」

    トルペは鏡の前で普段よりも背の高い自分を見てガックリと肩を落とした。
    おそらくあのメイドはトルペを新人メイドだと勘違いしているのだろう。

    「はぁ...。ちゃんと誤解を解かなきゃ...。」

    ドライヤーで髪を乾かしていると、また慌ただしくあのメイドが戻って来た。
    「お待たせ!制服はちゃんと着れているようね!」
    ちゃんと着れていることを確認したメイドはまたもじもじしているトルぺの腕を引っ張り、廊下の中を歩いていく。
    話を聞くと、今からご主人様に挨拶に行くらしい。
    主人は有名な楽団の団長で、とても素敵な人なのだとか。
    だけど、独身で恋人どころか女の陰がないから、皆、気になっているのだとか。
    噂だと楽団の誰かに気になる人がいるらしいが、誰なのか教えてくれないらしく、今、使用人中で話題の人物らしい。
    「そうなんで..「それで、ここがご主人様の部屋!」

    返事を返そうとしたが、あっという間にドアの前に来てしまった。
    誤解を解こうとメイドに話しかけようとしたが、メイドは気が付かず、そのまま部屋をノックし、「ルイ様、ただいまよろしいでしょうか?」と声をかけていた。

    どうぞ、と聞き慣れた声が返ってきたので、メイドは扉を開け、小声で入って、と促した。

    椅子に座りながら本を閉じた団長と目が合った。

    「今日からメイドが一人増えたのでご挨拶に参りました。」

    「え?メイドって...」

    「あっ、あの!違います!!!」

    「君、この子はね....」

    「本当に申し訳ございませんでした....!!」

    メイドは頭を下げて勘違いして行動したことを詫びた。
    どうやら団長の説明でやっと理解したらしい。

    「この子の服を返してあげて欲しいんだけど、今どこにあるんだい?」

    「あの、実は...」

    トルぺはここまでの経緯を話した。

    実はここにくるまでに雨に振られ、服がびしょびしょに濡れてしまい、それを見たメイドがシャワー室に連れていき、(実際は強引に連れられひん剥かれたのだが)シャワーを浴びたのだが、着替えはこのメイド服が置いてあり、着てきた服は乾くまで着れないことを話した。

    「そ、それで勘違いされたのはびっくりしたんですけど、シャワーを借りれたお陰で風邪を引かずに済んだので...えっと...」

    トルペのワタワタしている姿を見た団長はふぅ、と息を吐いた。
    「そうだね、今回は大目に見ようか。今後は気をつけてね。」

    トルペと背丈の近いメイドはトルペ用の下着を渡した後、午後からの休暇で外出しており、明後日まで戻らないらしい。
    仲が良くても流石に許可なく着替えは借りられないので、申し訳ないが、新人用に用意していたメイド服で我慢して欲しいと言われた。
    この格好はやや恥ずかしいが着替えがないよりはマシなので大丈夫です!ありがとうございます...。とお礼を言った。

    「とりあえず、トルぺくんの服が乾くまで、ここで少し話そうか。君、お茶とお菓子を用意してもらえるかな?」
    団長はメイドに伝えると、メイドは「かしこまりました。」と一言残し、部屋を後にした。

    「トルペくん、とりあえず座ろうじゃないか」
    トルぺは団長に案内され、団長の反対側のソファに座った。
    すぐに要件を済まして帰るはずだったのに、こんな事になるなんて。それにまさかこんな形で団長の部屋に来る事になる(しかも何故かメイド服で)とは思わなかった。

    部屋の物珍しさにトルぺはキョロキョロと周りを見渡す。
    「そんなに珍しいものはないよ?」
    フフッと小さく笑った。
    「あっ、ええと、団長さんのお家、凄いですよね、お話は聞いてましたが、こんなに大きいとは思わなくて驚きました...!」

    「そうだね。ここは両親以外に使用人も数人住んでるから、広い方だと思うよ。こんな天気じゃなかったら中庭も見てもらえたら良かったんだけど、また今度ね。」

    窓はまだ雨が降っており、ガラスに付いている水滴で外が滲んで見えた。

    「は、はい...!」
    「それで、今日は何かあったのかい?」

    「そ、そうでした!あの、お願いされた荷物を届けに来たんですけど、カバンに入れていて...あれ?そうだ、どこ置いたっけ...あっ!そうだ!」

    カバンを最初の方にあのメイドに預かって貰っいたんだった。

    「カバン、メイドさんに渡していたのをそのままにしてました!ど、どうしたら....」

    「大丈夫。彼女ならお茶を持って戻ってくるからその時に聞けば良いさ。多分、今部屋から出たらメイドに間違われると思うからやめた方が良いと思うよ」

    トルペの今の格好はこの家の使用人の証とも言えるメイド服で頭には丁寧にメイドブリムを着けている。
    確かにこのままだと客ではなくメイドにしか見えない。
    「そ、そうですね。すみません、慌ててしまって...」

    数分後、団長の言う通り、メイドが戻ってきた。
    「この子のカバンを預かったと思うんだけど、今どこにあるんだい?」
    メイドが預かって、カバンを乾かしているらしく、とってきますと伝え、慣れた手つきで二人分の紅茶を注ぎ、クッキーを置くと慌ただしく部屋から出て行った。

    数分後、また戻ってきたメイドからカバンを受け取り、トルペは団長にカバンから取り出した荷物を手渡した。
    タオルである程度は水分を取ったが、まだ湿ってるから気をつけてね、と教えてくれた。

    「胸に抱えながら走ってきたので中身までは染みてないと思うんですけど、大丈夫でしょうか?」
    団長は荷物の外装を開け、中身を確認した。
    「そうだね、外装は少し濡れてたけど中身は無事だったよ。ありがとうトルぺくん。お使いお疲れ様。」

    「い、いえ...」

    「ただ、今度から雨が降って来れなかったら傘も無しで歩かないで、一言連絡してね。君の体調も、荷物も無事じゃなかったら大変だから、次はちゃんと気をつけてね。」

    「はい。気をつけます...。あの、荷物をお届けできたので、僕はこれで...」

    もっともな意見だった。早く届けないとと考えるあまり荷物のことを考えていなかったので、反省した。

    「待って、トルペくん、このあと暇かい?まだ天気も良くないし、このまま嵐になったら大変だ。もしよかったら天気が良くなるまで色々と話したいんだけど、いいかな?」

    「へ...?」

    思わぬ誘いだが、トルペとしてもせっかく二人きりなのだし、もう少し話したいと思っていたので、すぐに了承した。

    「は、はい!このあと家に帰るだけだったので、大丈夫です!」

    「よかった。それじゃあ、もう少し話そうか。うちのメイドの手作りクッキー、美味しいから召し上がれ」

    団長にクッキーの入ったカゴを勧められたトルペは模様が入った一口サイズの丸いクッキーをつまみ、口に含んだ。

    「ありがとうございます...んっ、美味しいです!」

    口に含んだ時に広がるほどよい甘さとサクサク、ホロホロの食感が美味しい。

    「フフッ、そうだろう?他にもチョコレートやヨーグルトとかもあるから好きなだけ食べてね。」

    色んな味のクッキーと紅茶を飲みながら二人の音楽の話は長く続いていた。

    数時間後、メイド達は二人の様子が気になり、お茶と手作りクッキーのおかわりがいるかという名目でコンコンコンとノックして扉を開いた....のだが、二人は音楽の話に夢中だった。
    「あの...」

    「だから、この曲は........」

    「なるほど、それならここはこうしますかね....」
    「あのっ!!」

    びくん!と二人の方が小さく跳ねた。

    「もう!お二人とも夢中になるのは良いんですけど!無視しないでいただけますか!!」

    少しお怒りのメイドに注意され、トルペはしゅんとなる。

    「それで、トルペ様はお夕飯、召し上がりますか?」

    「え...えっと、流石にそこまでは...」

    「大丈夫です!一人も二人も変わりませんから!」

    先ほども言ったがこのメイドは良い子なのだが良い意味で話を聞かない時がある。

    「お夕飯できたらお呼びするので失礼します!」

    とまた部屋を出て行った。それはまるで室内の嵐のよう。

    「へ...ま、待ってーーー!!」

    「私は別に構わないんだけど....。」

    トルペはこの後さらなるトラブル...否、喜劇に巻き込まれることを知らない。
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