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    ふぃー

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    ふぃー

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    執行官第11位様とif執行官入り双子の片割れ蛍様(タルより上席。何番かは知らん)によるなんちゃって職場恋愛タル蛍。
    長くなったのでポイする。暇な時にでも。

    雪をも溶かすその熱はおかしいものですね。国のド暗部所属のくせに、こんな甘々で職務怠慢と言えますね。けしからんです。という気持ちで書きました。
    執行官上席に下席に対して命令権限があるのかは知りませんが、あった方が興奮するので、設定に入れました。
    蛍と空で一つの席についてます。タルより上席。

    私のタル蛍は、タルも蛍もキャラ崩壊前提なので悪しからず。








     七国の極北―スネージナヤ。
     凍て空は澄み渡り、極彩のベールが揺らめいていた。極光は、天上からの純粋無垢な祝福を表すようで、永遠の雪景色との調和は最上である。そんな荘厳な天球の眼下。日は沈み、夜の帳がかかった雪原の中、燃える火が動いていた。よく見ればそれは、歳若い青年の明るい毛髪であり、極限の純白を纏うスネージナヤの極寒の中では酷く目立っていた。青年は険しい顔つきをして、頭上の祝福には目もくれず、歩みを止めることは無い。
     ただ、一歩また一歩と、確かな足取りで真新しい銀景色に己の足跡を残していた。
     暫くして、そのブーツはある場所で止まった。小高く積もった雪山の前。青年は、それを見上げる。微かに夜の中を輝く金色を認めると、口の端を緩ませて、その雪山に足をかけた。

     その時。

     青年の頭上から、声がかかった。

    「そこで、止まって。執行官上席の権限で、私に近づく事を禁ずる。公子タルタリヤ」

     凛とした鈴の音を思わせる声。
     寒々とした響きを震わすお目当てのその声に、タルタリヤはおどけた様子で返答する。

    「やァ、御機嫌いかがかな。双子の姫君」
    「貴方が来るまでは、最高だった」
    「それは手厳しいことで。邪魔してごめんね。こんな極寒の下で何してた知らないけど。雪と一緒に心中でもするの?」
    「口を慎んで、末席。もし次、馬鹿なことを口にしたら、その首を飛ばすから」
    「怖い怖い。そうゆうの、大歓迎だけどね」

     呆れたといった様子で嘆息を零す少女を見上げ、タルタリヤは笑みを深める。そして、自らの意思で、たった今宣言された禁足地へと足を踏み入れた。雪山を数歩で登りきると、直ぐに少女の傍まで辿り着く。一等空が近くなったその場所で、タルタリヤは此方を見上げている視線に自らの蒼眼を返した。
     鼻の頭を、そして頬と耳を赤らめる姿に、唇からは笑声の響きが滲む吐息を落とす。

    「もう、またそんなにしてさ。そんなにオーロラ見たいの?」
    「近づくなって、言った」
    「このやり取り、飽きない? 俺、飽きたよ」
    「……」

     感情の読めぬ無表情のまま、双子の片割れ―蛍はタルタリヤから視線を外した。
     これもまた、過去数度行われた流れである。
     タルタリヤは膝をついて隣に座ると、自身のコートを少し開け、小さく座り込んでいる少女の身体ごと包み込んだ。

    「……要らない」
    「嘘言うなよ。前は、全部取ってっただろ」

     そう、過去の逢瀬の中では、今日と同じように熱を分け与えた瞬間、無情にもコートを剥ぎ取られた事もあったのだ。
     それを思い出し、タルタリヤは苦々しい表情で、今日は大人しくしている冷血女を見やる。少女は既に会話の内容に興味が無くなったのか、先と同じように、首が直角に近くなるほどに空を見上げていた。
     青年もそれに習って空を見上げる、という事はなく、つまらなそうに少女の横顔を見つめていた。
     頭上の様子など、確認せずとも分かるからだ。生まれ落ちてから幾度となく見上げた空の表情。それはいつだって変わることなく、臆病だった少年の酸鼻極まる成長を見下ろしていた。
     帰郷した時は感慨深いものがあるが、スネージナヤパレスでの滞在を余儀なくされている現在は別である。

    「ねぇ、そんなに見てても変わらないよ。此処で座ってないでさ、俺と手合わせしよう。身体、温まるよ」

     その言葉に、蛍はチラリとタルタリヤの方に視線を流すも、すぐに元に戻る。
     言葉は無くとも、少女の興味は依然として空の上である事は明らかであった。塵一つも自身の方へ向くことの無い少女の関心に、タルタリヤは不服そうに唸り声を上げる。
     すると、隣から微かに笑声が零れた。

    「……貴方、いつもそれだね。他に知ってる言葉とか無いの? あ、伏せ」
    「俺の事、躾られたペットか何かだと思ってる?」
    「同じことでしょ。彼女への忠誠があるんだから」
    「否定…できないけど」
    「それに……自身の快楽を満たす為だけの行為を何度も繰り返す…本能的な欲に抗えないなんてね。まるで自慰みたい」
    「その言葉忘れないからな。君の兄上に言いつけるぞ」
    「それはやめて欲しい。多分卒倒するからね」

     「部屋から抜け出してる事もバレちゃう」と、くすくす笑う愛らしい姿。タルタリヤは、つい数秒前、この可憐な少女の口から凡そ出てこないであろう言葉が飛び出したことをうっかり忘れるところであった。

    「……あー…違うからね。違うから」
    「何が?」
    「だから、自慰とかじゃない。戦闘は俺にとって、その、成長そのものとか生きてる意味だから」
    「律儀に訂正してくるなんて…しかも、女の子にそんな言葉かけるなんて…」
    「君が先に言ったんだろッ」
    「ふふ」

     ここで、今日初めて、蛍の瞳の真ん中にタルタリヤの姿が収まった。同じコートの中、蛍を自分の身体で包み込むようにして座っていたタルタリヤは、急に身を乗り出してきた蛍に気圧される。
     鼻と鼻がくっつくほどに近い距離。
     目の前の少女の行動を理解出来ず、どこまでも深く蒼い目を見開いたまま、その蜂蜜色の瞳を見つめ返した。

    「私も飽きたかな、手合わせのお誘い。いつも単調で、面白みが無い」
    「言ってくれるね」
    「他の方法を考えてみたら? 私の興味を惹く方法」
    「……は…」

     蛍の言葉で湧き上がった苛立ちが、今度は蛍の言葉で彼方へと吹き飛んでいく。
     此方を覗き込むように見上げている瞳は、タルタリヤの反応を伺い、次の言葉を待っていた。

    「……な………は? 何を、勘違いしてるのか知らないけど…俺はただ…君と手合わせしたくて」
    「素直になったら? 君は、自身の欲に忠実だ。なら、わざわざ私に声なんてかけないで、問答無用で切りつければいい話でしょ?」
    「それ、は」
    「それに、貴方、見過ぎだよ」

     「バレバレなの、知ってた?」とでも言いたげに、少女の瞳が弧を描く。
     何を「見過ぎ」ているのか。
     主語のない動詞。だが、タルタリヤは、その主語を瞬時に理解してしまった。理解せざるを得なかった。
     心の何処かでは明確な自覚があり、それに対する後ろめたさがあり、そして抑えきれない情動があったのだ。じわじわと頬を耳を迫り上がってくる熱と、全身から吹き出す汗がその証拠である。

    「……ちがう」
    「違う? 今日も、私が部屋から出てきたの見て、ちょっと遅れて後追ってきたよね。偶然を装いたかったんでしょ?」
    「……ちがうって…」
    「隠さなくていいんだよ。別に恥ずべき事じゃない。人は皆、誰かへの情を持っているよ。一人一人に違う意味で、違う重さの」

     そっと、タルタリヤの首に腕を回した蛍は、自身の体温を移すように抱き寄せた。限りなく近いその柔らかな肢体。普段は、すれ違った時にだけ微かに感じるものの、すぐ消えてしまう少女の甘い香が鼻腔に流れ込んでくる。

    「……ッ、なら…き、みも、同じ気持ちで」
    「いや、全然。申し訳ないけど、後先考えないで戦う貴方は好きじゃないよ」
    「……」

     温かな体温とは裏腹に、冷ややかで素っ気ない声がタルタリヤに降りかかった。
     絶句である。
     (なら、この抱擁は何故?)という疑問を抱きつつ、未だ蛍の腕に柔く抱かれたまま。

    「……じゃあ、放して…嫌いなんだろ。期待させないで」
    「嫌いじゃないよ」
    「だから、期待させないでって」
    「好きにしてみせたらいいんだよ」

     その言葉に、項垂れていた青年は思わず顔を上げた。聞き間違いではないようで、少女はこてんと首を傾げて、「出来ないの?」なんて囁いてくる。

    「……自分が、なに言ってるのか分かってる…?」
    「うん。こっちの方が、今は面白そう」
    「待って…本当に、待って…君、こんな子だったの…?」
    「こんな子って?」
    「……もっと…こう、冷徹なのかなって」
    「嫌なの?」
    「嫌ッ、じゃない。違うッ」

     少女の寂しそうな声色に、衝動的にバッと顔を上げれば、タルタリヤと蛍の鼻の頭が軽く触れ合う。先程まではそこまで気にならなかったのに、自覚が芽生えてしまえば、反射のように顔に熱が急激に集まっていく。
     耐えられない。
     恥ずかしい、という思春期の少年のような気持ちが勝る。
     思わず顔を背けたタルタリヤに、蛍は嘆息を一つ吐くと、「あーぁ」と零す。

    「タルタリヤには、難しかったか」

     その言葉は、流行る恋の熱に浮かされつつあったタルタリヤの琴線に触れた。青年の本質である負けず嫌いな性が、その一言を聞き流すなんて事を許さなかったのである。
     それはもう、プツンと綺麗に切れた理性。タルタリヤは、身の内を焦がし始めた衝動に身を任せて、未だ嘲笑を続ける蛍の顔を両手で掴んだ。

    「んむ」

     声とも言えぬ、鼻を抜ける息の音が聞こえる。どちらのものかなど、気にかける余裕は無い。気にする器量も、今はどちらも持ち合わせていなかった。
     今分かるのは、お互いの唇の柔い感触と、その熱く火照ってきたお互いの体温のみである。

     ゆっくり離れていく唇。そして、名残惜しそうにぶつかる額。
     タルタリヤも蛍も、暫くの間、言葉を発するという思考すら溶け落ちてしまったかのように、お互いの熱を感じ入っていた。

     二人の間の空気が揺れ、青年は、唇を開く。

    「……で、どうなの」

     好きになったか、とは言葉にできるはずもなく、少女の返答に耳を傾ける。

    「……わ、かんない」

     ポツリと空気に混ざるその言葉に、唇を噛み締めて、視線を下に向ける。

    「わかんない、けど」

     と、続きがある事を匂わす少女の震える声に、タルタリヤは視線を戻して、真っ直ぐ琥珀色を見つめた。
     琥珀が揺れる。タルタリヤのシャツを掴む手に力が籠っている。
     蛍は、頬を仄かに赤く染め、微かな声で呟いた。

    「も…ぅ……一回、してくれたら、分かるかも」

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