横だっこ。☆ミファーside
「ねえ、足くじいたでしょ」
いつもは優しげな声が怒気を孕んでいる。
ああ、振り向きたくない。
そう思っていてもがしりと尾羽を捕まれてしまう。
「っ!あーいだだっ!」
「ほら、きこえないふりしないの」
しまった、着地のときにくじいたのがばれたか。
リトは嘴や爪も武器として使うが、タイミング悪くて捻挫したのである。
とはいえ、大半歩くことが多いから足のケガはまずいのは百も承知だ。救護所へ行く途中だったが、ミファーには知られたくなかった。なぜなら。
「まったく、また無茶したんでしょ」
そういうとミファーは軽々と足払いをかけ、僕を横抱きにしてしまった。
「や、やめてくれよ。救護所に行く途中だったんだ」
そういってもミファーはふん、といってズンズン歩いていく。
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