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    で@Z977

    @deatz977

    グスマヴェちゃんだけをまとめておく倉庫。
    🦆🐺至上主義強火。独自解釈多。閲覧注意。
    (全面的に自分用なので配慮に欠けています)

    ☆quiet follow
    POIPOI 71

    で@Z977

    ☆quiet follow

    グスがマをハグするだけのなんでもないとても短いお話。息抜きに書いただけなので本当になんでもない。

    傍らに愛おしさ 好きだなぁって思う。
    「ぐーす?」
     未成年でも通用しそうなあどけない表情で小首を傾げるマーヴェリックは、幼さを残しつつもどこか煽情的な魅力があった。じっと見つめられていたことに気付き相棒のコールサインを舌に乗せた男の声は、蕩けたチョコレートみたいに甘やかだった。
     俺のコールサインを口にするときだけ、甘えたな声色になることには疾うに気づいている。本人に自覚はないのだろうが、舌足らずな「ぐーす」の音は何度聞いても心地良い。幸福物質が脳から全身に染み渡る。
    「ぅ、えっと、……? ぐーす?」
    「うん?」
     返事をしない相棒に痺れを切らし、マーヴェリックが再びコールサインを口にした。相槌とも言えない軽さで言葉を返せば、不安気に寄せていた眉が綻び、顔中がふにゃりと解ける。
    「だって、グース、おれのこと見てた。……だろ?」
     伊達にパイロットをしていないマーヴェリックは、当然頭の回転が速い。感覚で操縦するタイプのアビエイターだが、その技術は知識に裏打ちされている。対人関係が少なく普段から饒舌というわけではなかったが、それでも自己主張を譲らない男は弁が立つ。
     俺の前以外では。
    「おれの顔、なんか付いてる?」
     俺に対してだけ言動が幼くなるのは、どうにも普段から張りつめている気が抜けているからに違いないだろう。猜疑心で己の心を守っているマーヴェリックは、出会った当初こそその態度を俺にも見せていたとはいえ、今ではすっかり心を許しているようだった。飼い主にだけ甘える猫のようにふわふわで柔らかい。喉を鳴らすゴロゴロ音が聞こえてきても不思議ではない。
    「ん~? 可愛い顔が付いてる」
    「はぁ? なんだよそれ」
     頬を膨らませプイッと横を向いたマーヴェリックの耳が赤く染まっている。そんなところも可愛い。
    「本当の事だろ。俺がお前に嘘吐いたことあるか?」
    「それは……」
     あったかなかったか頭をふらふらさせて悩むマーヴェリックは、そんなくだらない質問にさえ一生懸命だった。嘘を吐いたことがないとは言わないが、堂々とあるわけでもない。
    「ないかも、だけど……」
    「だろ?」
    「じゃあおれ、……かわいい、」
     喉の奥でうーんと唸る。小動物が懸命に威嚇するみたいな音がする。全く怖くない。
    「そ。可愛い」
    「かわいい、でも、いいけど、」
     本当は格好いいんだけど、ともごもごしながらマーヴェリックが続けた。
    「かわいい、は、グースだけのおれ、だからな!」
    「俺だけの可愛いマーヴなんだ?」
    「ん」
     マーヴェリックが「可愛い」と言われて怒ったり機嫌を悪くしたりする場面には何度も出くわしたことがあった。紛うことなき成人男性なマーヴェリックは、小柄な体躯と幼さの残る顔立ちを馬鹿にされることを許さなかった。馬鹿にする意図以外の感情からその言葉を投げかけた男も数多くいただろうが、マーヴェリックにとっては無礼な人間のひとりに過ぎなかった。
     俺にだけ、マーヴェリックの「可愛い」が許されている。
    「グースだけ、だから」
    「そっか」
     あぁ、可愛い。可愛い。可愛いなぁと感情が昂る。ぎゅうっと抱きしめると、子供みたいに温かなぬくもりとお日様の匂い。
     腕の中でおとなしくしているのも俺にだけ許された特権で、マーヴェリックが無意識に心を明け渡しているのだと優越を覚える。
     くったりと力の抜けた体が預けられ、背中に回った指先が、控えめにふにふに動いた。
     もう一度強く抱きしめる。腕の力に励まされたのか、マーヴェリックの腕も俺をしっかりとホールドした。
     この存在を手放したくない。声にならない愛おしさを腕に抱いた。
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    で@Z977

    DOODLE年越しグマちゃん。一応ひとつ前の『手のひらに愛』の続きの時間軸。単体でも読めます。
    カウントダウン ぎゅうっと手の力を強めると、繋がれたグースの手のひらが呼応するようにぎゅっと力を込めてくれる。手のひらにグースの力が伝わるたびに嬉しくて、おれは何度もそんなことを繰り返していた。だけど意識的な行動をしなくたってグースの手のひらが離れることはなくて、その事実に心があたたかくなって、そうしているうちにグースの手の力がおれより先にきゅっと強くなることもあった。
     ひとつになっているグースとおれの手のひら。
     喜びに弾む気持ちはグースの手のひらにしっかと受け止められている。



     初めてグースと手を繋いだのは、プライベートの外出時に人混みで離れ離れに直後だった。
     おれを見つけたグースが両腕を広げたのは、もしかしなくてもハグをしようとしたのだろうと今なら思う。けれど当時は――今もグース以外にはそうだけれど――スキンシップに慣れていなくて、戸惑うことしかできなかった。どうするべきかわからずに佇むおれの右手を、グースは優しく微笑んでひと回り大きな手のひらで包んでくれた。反射でぎゅうっと握り返した。正解かはわからなかった。グースは「お前すぐどっか行っちまうから、はぐれないように。な?」と繋がれた手と手を軽く持ち上げた。
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