もっと、ぎゅっと。.
「は〜〜〜………ハグしたい。」
ひとりの部屋でそうぽつりと呟いた。
誰かが返事をくれる訳もなく、その小さな小さな願いは白いシーツに吸い込まれていく。
夏の休暇を取り、ミスタはLuxiemのメンバーと旅行へ来ていた。
何ヶ月も前から全員で計画を立て楽しみにしていたが、ちょうど世間一般の夏休みやら連休やらにぶつかったせいでホテルの予約が遅れてしまい、取れたのは3部屋のみ。
2人部屋が2室に1人部屋が1室。どう部屋割りをしようかと話し合いを始めた最中『これは男なら文句なしじゃんけんだろう』とあの時言い出したのは紛れもなくこの名探偵である。
意気揚々と片手を振り上げ、電線の鳥が飛ぶほどの声量で掛け声をかけたと思えば、決まった部屋はヴォックスとの相部屋。
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