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    じろぽい

    @PF49VoE5V9RzFaq

    ロゾ探求レッドゾーン

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    じろぽい

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    2023年ロゾ週間おめでとうございます!

    ※tr男の別世界ロゾに対するツッコミ集。
    ※4日目 ゾがいない世界 VS tr男
    ⚠死別表現有ります⚠

    「てめえ、死ぬぞ」よつぼし





    ぱちん
    ぱちん


    しゃぼんが弾ける音やふよふよ浮いている独特の音は聞き覚えがあった。
    眼を覚ましたローがいた場所は、やはりマングローブの大樹に覆われたシャボンディ諸島だ。安堵の息が漏れた。少なくとも此処は現在未来過去か別世界でもローの知っている世界だ。
    海軍の目や面倒くさい展開を予測して鬼哭を隠すことも考慮したが、島全体を探るより誰か捕まえて吐かせた方が早いといかにも海賊らしい解決方法をローは選んだ。
    そこそこの海軍の地位を持っていそうな男を選び、ローは能力で拉致し、四肢と頭を切断し頭部だけになった部位を片手でお手玉のように遊ばせれば悍ましい悲鳴を上げる頭部に「五月蠅ぇ」と凄むとバラバラにされた全身が各部位で別々に震え始めた。
    「おれの質問に答えろ」
    こくこくと頭部が無様に前後に動く。
    「今日の日付は」
    最初上手く口がきけず顎をガチガチ鳴らすだけの頭部に、ローは舌打ちをした。ミシミシッと頭蓋骨が音をさせたのを頭部も聞きつけ慌てて声を張り上げた。
    海兵が告げた日にちに随分昔に飛ばされていることがわかり、その頃の事を過去の海から引き上げればローがシャボンディ諸島に到着する前日だ。つまり麦わら一味が大暴れ手して海軍大将を呼び寄せた前日だ。めんどくせえな。
    「おい、今このシャボンディ諸島に潜入している、お前らが把握している海賊は?」
    最悪の世代と呼ばれた海賊がチラホラ集まっているようだ。ロー、キッド、ルフィはまだ到着していない。となれば過去に戻ったのか?
    「最悪の世代、トラファルガー・ロー、キャプテンキッド、麦わらのルフィ、ロロノア・ゾロで知っている情報を吐け」
    海軍の下手くそな説明はローの機嫌を下げつつも、それぞれよく知られた文言で言い表された、ルフィまでは。
    「は?」
    「じ、じぶんが知って、いる情報で、はそのよ、うに聞いて」
    「もう一度、言ってみろ」
    「ひ、イース、トブルー、の海、賊はよく知ら、ず、」
    瞳孔が開いているローに見下ろされる恐怖で顎が合わずガタガタ震えが大きくなってさらに言葉が紡ぎづらくなる。しかし命の灯火が叫ばせた。


    「最新の情報ではロロノア・ゾロは七武海バーソロミューくまに討ち取られて死亡」




    あの後自分があの頭部とバラバラになった体をどうしたのか、記憶が無い。
    しかしまあ自分のことなのでバレるようなことはしていないだろうと踏んでローは急ぎ情報を集めた。麦わらの一味のだ。
    情報屋や引っ捕らえた海軍、観光客の噂、裏の世界で幅をきかせている人間からの情報も、最初の情報と結論は変わらなかった。ロロノア・ゾロは死んでいた。
    他の情報で有力そうなものは、スリラーバークで七武海のモリアとくまと交戦し、くまにゾロが殺されたこと。中には仲間を守るためゾロが首を差し出したと漏らす者もいた。あのお騒がせの麦わら一味もついに壊滅したと嘲笑う者も多く居た。
    次の日になってこの世界のロー、キッド、カポネ・ベッジと次々上陸しているにも関わらず麦わらの一味の姿はなかった。


    ゾロの死に際を知りたかった。
    剣で死ねたのか、それとも本当に仲間を助けるために首を差し出したのか。
    しかし詳細な情報はどこからも得られなかった。
    死ぬ?ロロノア・ゾロが?
    ピーカにも傷一つなく勝利した男が?あの丈夫が取り柄の男が?
    そこでローは記憶の深い海底からシャボンディ諸島にいたまだ若いゾロの記憶を引き上げた。あの時、ゾロは、瀕死の体のくせに天竜人に楯突いていた。狂った男だとローは一瞬だけ目に留めたはずだ。
    気が急く。急いたところで、死んだ人間をどうすることもできない、医者でも。最早此処から助けに行くことも出来ないのだ。総毛立った。ゾロが、いない世界。これからどうなる?麦わらの一味は?壊滅したのか?2年後の同盟はどうなる?仮に同盟になったとしても、ゾロを失ったルフィはローの知っているルフィではない気がした。パンクハザードから見せつけられたルフィとゾロの絆はないのだ。


    鬼哭同士、鳴りあった。

    24才のローがベポに鬼哭を持たせてシャボンディ諸島に繰り出していた。
    この男も何処まで自分と重なるのかわからない。しかし未来は変わらずを得ない。コラさんの本懐を遂げるのか、分からない。それこそ一人で成し遂げるしかないのかもしれない。しかしドレスローザを経た今のローはそれがどんなに無謀なことかよくわかっていた。
    24才のローと26才のローが擦れ違った。
    「てめえ、死ぬぞ」
    それしかローは言えなかった。
    「予言のつもりか?」
    幻か、未来視か、ドッペルベンガーか、能力か、狂人か、あらゆる可能性を考えていそうな軽薄な男に視線もくれず、ローはそのまま立ち去った。後を追いかけてくる気配もない。背後から「今の人、キャプテンにそっくりだったね」と懐かしいベポの声が聞こえた。







    空からはしゃぼんの音しかしなかった。何時まで経っても次の世界に移動しない。元の世界に戻ることもない。麦わらの一味がシャボンディ諸島に上陸した形跡も何処にもなかった。オークション会場にも麦わらの一味が登場することはなく、冥王が老いて尚ルーキーなど足下にも及ばない力を発揮して終わった。

    ローは気が急くままスリラーバーグに向かった。
    奪った海軍の船とエターナルポースを使えば航海術も心得ているローは問題なく目的地に辿り着いた。それまでも鯨の音を耳が拾うことはない。
    太陽の光が差込まれているスリラーバークに脚を踏み入れれば寂れた墓と太陽というなんとも不釣り合いな光景が広がる。モリアの残党らしきものとは出会わなかった。もうスリラーバークを去っているのか、それとも城内に潜伏しているのか、ローには判断できなかったがローの知りうる過去ではモリアはルフィに倒されているので直ぐに再起というわけにはいかないだろうと、ローは好き勝手にスリラーバークを進んでいた。


    声が聞こえた。

    天からの鯨の音ではない。
    火山が噴火したような雄叫び。
    悲痛な遠吠えが鳴り止まない。


    ローは目を閉じた。それが麦わら一味の船医だとすぐにわかった。
    足が向く方向が決まった。しかし海楼石を呑み込んだかと疑うほど致命的な体の動き方だった。
    小さな毛玉は風変わりな墓の前にいた。ゾロの墓ではない。しかし錆びた刀が一本刺さっている。ゾロの持っていた三本を思い出しそのどれとも違った。

    「うおおおおおお」
    声色も変わっていた。涙は流れ続けていた。

    「ここに船医が居ると聞いてきた。おれも医者だ。話を聞きたい」
    チョッパーが受け入れやすい切り出し方を選びローは言葉を発した。
    「せんっい、おれ、おれ、守れながっ、た。医者なのに、仲間に、なっだのに、船医なのに、助けられながっだ。万能薬になるっで、信念を掲げだのに、おれ、オレ、ゾロを助けられなかった」
    その場に泣き崩れるチョッパーは絶叫を続けた。
    「他の仲間は?」
    「皆、ゾロの死を無駄にしないっで、強くなるっで、ルフィを海賊王にするって、修行に出だ。二年後にまた集まるっで。」
    「ならどうしてお前は此処に居る?墓でも守っているのか?」
    ローは誘導尋問のため平静を取り繕った。表情は帽子の鍔で誰にも見えない。
    「墓はねえ。此処はゾロにはあわねえってルフィが。海賊王になって東の海に戻ったときにゾロも連れて行くっていっでだ。」
    ぼろぼろ涙を零し続けるチョッパーに「そうか」とローは頷くだけだった。
    「いっぱい、おれのこと守ってくれたのに、おれは、おれはゾロをたすげられなかっだ。馬鹿に効く薬も間に合わなかった。おれ、おれもっとゾロと一緒にいたかっだ。もっとゾロと冒険したがっだ。ゾロにあいだいっ。」
    ローの世界でサンジ救出に向かったチョッパーはゾウを出立する直前に「皆のこと頼むな」と船医としてローに声をかけていた。特に頼まれたのはゾロの事だ。すぐ怪我するしすぐ包帯とるし目が離せねえんだとぷんぷんするチョッパーに「任せろ。オレなら四肢を斬って大人しくさせる」「こえええええええ!ゾロ逃げろーー!!」とその場で右往左往していたことを思い出した。それとサニー号の芝生の上でゾロと昼寝をしていたチョッパーを。この場を離れられない辛さを、思った。

    言葉と涙が止まらないチョッパーは持っていた小さな瓶をぎゅっと蹄で抱き締めた。
    「それは?」
    「ゾロ」
    初めてローが顔色を変えた。
    ゾロ屋、そんなところにいたのか。チョッパーが抱える小瓶が突然温度を持ち始めたように感じた。
    「故郷に帰るまで、皆でゾロを色んなところに連れてやってやろうって、どうせゾロは迷子だからって、ルフィが」
    「へえ。で?てめえはどうすんだ」
    「おれ、おれ、ゾロぉ、ドクター」
    泣き止まないチョッパーにローは踵を返した。ぼたぼたぼたと雫が小瓶を濡らしていく。
    「仲間を助けた男もさぞ無念だろうな。せっかく助けた仲間がいつまでも腐ってんならな」
    それだけ吐き捨ててローはチョッパーのもとを去った。太陽は平等にただ全てを照らし出すだけだった。そして等しく影が伸びている。


    チョッパーはただ泣いていた。
    何日も何日も涙は枯れずに遠吠えを繰り返した。
    そしてある日突然音がなくなったように静まりかえって、チョッパーは腫れてパーツが見当たらない顔をしてむくりと起き上がった。
    「ゾロ、おれ行くよ。ゾロが守ってくれた命で仲間を絶対守るから。皆の万能薬に絶対になるから。見ててくれよな」
    「チョッパー、お前ならやれる」とゾロの声が届いてもチョッパーはもう泣かなかった。小さな背でリュックをかずき、褌をしっかり引き締めて(これは例えだ)、前を向いて小さな蹄で飛び出した。

    青空に不細工な笑顔を見せたトナカイをローは影から見送った。











    ローはスリラーバーグを数日ただ歩いていた。空腹を感じずその他も生理的欲求もなく通常通り動き続ける肉体にこの世界はローの生存環境ではないのだと解析していた。
    何のために、世界を渡っているのか。
    誰が、ローをこんなところに連れてきたのか。
    ローの世界は今どうなっているのだろか。
    クルー達のこと、計画のことが頭をちらつく。しかし此処ではどうすることもできない。パラレルワールドと言う考え方はローの世界にも在り絵物語ではこっちの世界の人間が別の世界に飛ばされると、飛ばされた別の世界の同一人物がこっちの世界にやってくる、などという事態になっていたが、24才のローは此方に居たのでローの世界に別のローは飛ばされていないのだろう。いや、でもローが世界を渡っているのであれば、他のローが渡っている可能性もあるのか。纏まりようがない思考は流れていくだけだった。
    歩いている途中、ローは意識的に瓦礫の中から花を探すようになっていた。
    小さな白い花を摘む。雑草だ。それなりの背丈があったので長身のローでも見つけやすかった。束にしてぶつりと抜く。

    暫く歩くと、大地が血を吸った痕跡が残る見晴らしのいい場所に出た。
    匂いが変わる。未だ立ち込める鉄に近い鼻をつく匂いがある。どれたけの苦痛と血が大地に流れ川となったのか。
    此処でゾロが死んだのだろう。
    チョッパーの様子から仲間を助けるために。もしかしたらルフィの首を守ったのかもしれない。ルフィとゾロの絆にローは後者の可能性が高い気もしていた。それが出来る男がロロノア・ゾロだった。
    異常なまでの血の量を大地が吸ったと知らしめる川の流れのような痕跡にはかき集められた幾つもの花が捧げられていた。ローもその花の列に白い花を並ばせた。その横にある黄色い花もローが置いたものだ。
    「お前は花より酒だろうな」
    この科白も何度目になったのだろうか。


    ロロノア・ゾロがいない麦わらの一味は、2年後、また復活するだろう。チョッパーの様子からして各々ここから乗り越え2年後麦わらの一味として再始動していくとして、しかしこの世界のローとパンクハザードで出会う未来はなさそうだった。しかしあのお騒がせ一味のことなので、厄介ごとを背負ってドレスローザでローとはちあい、ローとルフィが啀み合いながらドフラミンゴを倒すことはするかもしれない。同盟は結んでいないので、ローの腕は千切れたままだろう。
    コラさんの本懐は果たす。何が何でも。どこの世界のローであっても。
    それからはゾウまでのビブルカードがあるとルフィたちと交渉して船を相乗りするか、いやあの船であればローがどこかから船を調達している可能性も高い。

    どちらにしても「こっちに来いよ」と言ってローを一人にしなかった剣士はいない。

    その後、自分はどうするのか。
    検討も付かない。仲間と海を渡っていくのだろうか。Dの運命を探ってポーネグリフを求めて麦わら一味と改めて同盟を結びワノ国に乗り込むことはあるのだろか。いやなさそうだな、とローは結論づけた。
    ドレスローザを一人で戦うのか、勝手な奴らだったがルフィとその仲間たちと一緒に戦うのか、その違いは大きいとロー自身が感じてしまったからだ。しかもその麦わら一味もゾロがいないのであれば、ローの知る一味ではないだろう。ルフィは特に。ゾロが焼かれて灰になるのを見届けただろうルフィはゾロの灰を仲間に分けながら何を思っていたのか。
    全てが変わっているのだ。歪んでしまった世界が、この世界だ。
    「こっちのおれは死ぬか、本懐果たしても虚ろを抱えたままだろうな。」
    本当はあの時チョッパーが大事そうに抱えていたゾロを能力ですり替えてしまえとローの頭を過ぎっていた。目を離せば迷子になるゾロがこの手にあると言う感覚は倒錯的だと感じた。しかしローは実行しなかった。


    「お前の灰を飲むより、酒を酌み交わしたほうがいい。秘蔵の酒を出してやってもいい。だから嬉しそうに笑ってくれよ、ゾロ屋。」


    とっととおれの世界に戻らせろ、とローは赤黒い土を掬い握り締めた。まだ残る血の匂い目眩を覚える。ゾロの血を吸い花は咲くだろうか。せめて美しくあって欲しいとローは馬鹿なことばかり考えた。ゾロの灰と血痕だけが残る世界。歪んでいく世界。ローはこの世界で何一つ足掻けない。そしてそれはどんな警告をローにしているというのか。



    音がした。
    空から。

    鰭が海面を叩く音だ。
    星がひとつふたつみっつよっつ叩かれ落ちていく。


    「ゾロ屋」


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    じろぽい

    DOODLE2023年ロゾ週間おめでとうございます!
    今日が最終日なら明日はつまり後夜祭!明日まで続きます!すみません!

    ※tr男の別世界ロゾに対するツッコミ集。
    ※最終日 帰ってきたtr男 vs いつものゾ vs dークライではなく別世界ロ's
    「愛しく感じろ!!トキメケ!!オレに!!!」むつぼし




    瞼を開けると太陽の光が目を焼き、潮風が吹き抜けた。デッキにはハートのクルーと麦わら一味と侍たちが外の空気と解放感に喜んでいる。
    始まりの時から変わっていない。
    戻ってきたのか?おれの世界に。ローは即座にゾロを確認した。
    ゾロはハートのつなぎを着ていないし海軍の制服でもない。子供でもない。片目だ。死んでもいない。
    あとはまたネジが外れた己が現れないかということか。
    ペンギンとシャチがデッキに出てきてベポやウソップたちに声をかけていた。それから二人はローのもとに来て報告を始めた。近海の様子やカイドウの情報を報告する姿に、ああおれの世界だと実感することが出来た。
    どっと疲れが体中を巡った。
    ローは二人に情報が足りない箇所を指摘し、30分以内に集まらないようなら出発すると告げ、その間ローは仮眠を取ることを伝えた。「アイアイキャプテン!」と敬礼するペンギンとシャチの後方にゾロが見えた。侍たちと麦わら一味とハートクルーたちも何人か混じって話をしていた。どっしり構えた姿と合わない視線にローは安堵を覚えていた。
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    じろぽい

    DOODLE2023年ロゾ週間おめでとうございます!

    ※tr男の別世界ロゾに対するツッコミ集。
    ※5日目 ゾがハートクルーのロゾ VS tr男
    「もうこれ以上何も見せつけるな。いつもの、ゾロ屋に会いてえ。」いつつぼし




    もとの世界に戻らせてくれ。
    せめて、ゾロ屋が生きてることを確認したい。


    『ローさんが信じられねえのもわかるがな。おれもまさかこんな感情を持つなんて思ってもいなかったぜ』
    『世界が変わっておれが海賊になっていたとしても、変わらねえもんは変わらねえだろ。そんなにほいほいと自分を乗り換えなんてできねえから、必死に足掻くしかねえんだろうよ』
    『麦わらのところのロロノア・ゾロと言えばあの鷹の目も目をかけていたそうだ。世界一をかけた決闘を見てみたかったから残念だよ』


    『映画を見てるみたいだな』


    青空の海原には幾つもの星が浮かんでは沈んで、草臥れたように浜辺へ辿り着くと星の砂の一つ一つとなっていった。赤、青、白、橙と色んな色の星が混ざりあい目を焼く程の光源となる。黄色い巨大な鯨は青空を跳躍し美しい鰭で海原を掻き分け世界を掻き混ぜていく。ローは劇場の狭い椅子に長い脚を余らせながら腰掛け、巨大なスクリーンを見ていた。雑誌を指さしてこれが映画館だと笑っていたのは片思いを胸にひた隠しにしていたゾロだった。映画についての詳細はクソガキが面倒くさそうに続けた。『実はおれも映画館行ったの、こないだ先輩と行ったときが初めてで。それなのにおれ寝ちまって』と悪がるゾロを愛しそうに見詰めるクソガキに『こいつの調査と計画不足だ』と指摘してやれば、クソガキが喚いてきた。
    11709

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