Disturbed水中を漂っているような浮遊感。
あたりは一面の闇で、どれだけ目を凝らしても何も捉えることができない。
うっすらと自分を呼ぶ声がして、そちらへ手を伸ばす。
腕を何かに掴まれた感覚。
…暗闇に伸ばした腕の先に、何かが絡みついていた。
触れた箇所から肌がひび割れるような音を立てて逆剥け、バラバラと崩壊していく。
狂気に悲鳴を上げる間も無く、とてつもない力で身体が闇の底へ引き摺り込まれ…
「ウェド!」
「!」
突然名前を呼ばれて、ウェドの身体がベッドの上で大きく跳ねる。直前見ていたような気がする嫌な夢の残滓か、背筋を冷たい汗が伝っていくのがわかった。
ハッと声の方を見ると、すぐ脇でカナが質素な木製の椅子に腰掛けていた。
深い青色をした右眼が安堵の色を取り戻し、細い指が手元の羊皮紙にさらさらと文字を書きつけていく。
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