いつの間にか『天才の親友』の立場を手にしていた、寂雷と関わってわかったのはコイツは本質的には無節操で、大人しく文学少年をしていたのはそれしか知らないだけだった。
多少他人とのコンタクトの糸口を掴んだとはいえ、浮き世離れしたアイツは相変わらず遠巻きにされていた、それでも同級生の大半は良識的な奴等だったし、群れるのを余り好まない俺にとっても寂雷の隣とアイツと介した周りとの距離感は心地よかった。
必然のように側にいた俺等は若さのまま一線を越えた。
俺は、恐らくアイツもこの関係が途切れることは無れいと若さ故の全能感から過信していた、戦禍が無けば、あの手紙が来なければ、いや、何もなかったとしても結局はどこかで。
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