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    tiplouf

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    燐ニキワンライお題『動画』『深夜』

    凛月さんを巻き込んでいます。

    「おい~っす、突然やってくる真夜中りっちゃんねるのお時間で~す」

     深夜0時、星奏館の共有キッチンで突然始まる動画配信。夜型の凛月がきまぐれで始める配信だ。凛月の落ち着いた声は入眠にもいいと評判がよく深夜でも特別に共有ルームを使っての配信が許可されている。
    「俺の配信聞きながら寝よ~って思ってるでしょ?残念でした~、今日は飯テロ配信だから寝かさな~い」
     準備した材料をしっかり映しながら慣れた手付きで手際よくお菓子作りを開始する。
    「なんかみかりんが頑張って衣装作ってるから差し入れでもしようと思ってね」
     昼間の生活にも慣れてきたとはいえ少しでも夜型の生活をしてしまうとあっという間に昼夜逆転してしまう。適当に時間を潰そうとトリックスターが出た時のバラエティ番組でも見ようとしたが同室であるみかが必死で衣装制作をしていた為その邪魔になるのも忍びなく、どうせなら自分も暇つぶしになっていいと配信を開始した。凛月は気まぐれなようで気を使えるしファンサービスもしっかりとしている。
    「俺とみかりんはさ、結構感性が合うんだよね」
     一見なんてことのない雑談を交えた料理配信のように見えるがどうしてそうなったのかがわからないような毒々しい色味や次々を作り上げられていく禍々しい細工は本当に料理配信であるのか疑問が湧く内容だ。穏やかで優しい口調とのギャップも激しい。
     幸い、凛月の作るお菓子は見た目がグロテスクな事もあってそれほど視聴者の食欲は唆らずに深夜の飯テロになる事はなかった。少々視覚的な問題がありコメントで別方向で眠れなくなってしまう人も出たという話だが画面を見ずに凛月のトークに集中すれば安眠できるだろうと癒やしを求めていた視聴者の野望はあっけなく崩されてしまう。


    「え~、俺っちオムライスがいい~」
    「僕は今焼きそばが食べたいんっすよ!僕が焼きそばって言ったら焼きそばなんっす!そんなにオムライスが食べたいなら自分で作ったらどうなんっすか?!」
    「やだぁ~ニキきゅんが作ったのがいい~」
    「もぉっ、やだぁじゃないっすよ、あとくっついてこないで!重い!!!」


     突然配信に混ざる騒々しい声。


    「あ……凛月くんちょり~っす」
    「おい~っす、今配信中なんだけど」
    「へぇっ……?!」


     パリピ来襲である。
     深夜とはいえ共有空間だ、念の為18歳未満が映り込まないようにとキッチンの入り口に張り紙をしておいたはずなのだが空腹で訪れたであろうニキには目に入らなかったのだろう。
    「今入ったらマズかった感じっすか?」
    「ん~、映っていいなら別にいいけど……あとコメントでオムそばにしたら?って言ってる」
    「いいっすねそれも」
     凛月にスマホを向けられコメントを見ながらニキはカメラに向かい手を振る。ニキがすっかり配信に溶け込んでる一方で気まずそうにしているのは燐音の方だ。
    「あれ、燐音くんどうしたんっすか?いつもならこういうの喜んで映り込んでくるじゃないっすか」
    「そこは察してあげなよ~」
     音声はばっちりと拾われていた。ベッタベタにニキに甘えた音声が全世界へと配信されてしまったのだ。凛月のコメント欄を見てもそこを茶化されたコメントがある。普段から年下に甘えていたり、実兄への反抗心で自分よりも誕生日の遅い同い年相手にお兄ちゃんと言って見せたりする甘えん坊キャラを見せる凛月のファンのリスナーからしてみれば割と親しみやすさもあったのか比較的好意的なものも多いが悪ぶった大人キャラで売っている燐音からすれば致命的だ。
    「キッチン今使えない感じっすかね?」
    「ん~平気、俺はコンロ使わないしむしろなんか盛り上がってるから乱入歓迎~」
    「じゃあお言葉に甘えて」
     凛月くんは同じ左利きだから使う道具共用できていいっすね~と持ち前のコミュ力ですっかり馴染んでるニキに対して燐音はテーブルでずっと頭を抱えている。


    「燐音くん、オムライスできたっすよ」
     なんだかんだ言いつつもニキはしっかりと燐音の希望したオムライスを作っていた。卵の上には『いばにゃん♡』とケチャップで文字が書かれている。
    「……なんで?」
    「リスナーさんからのリクエスト投票で決まったんで……」 
     ちなみにニキのオムそばの上には『りつにゃん♡』と書かれている。
    「いばにゃん傑作だったよなァ」
    「あれ面白かったね~、は~くんと同棲してたのは気に食わないけど」
     茨がバラエティに出た時の話題で凛月と盛り上がり燐音もいくらか持ち直したようだ。念願のオムライスも食べることができて気分も良さそうだった。

    「丁度いいや、俺のお菓子もできたからついでに味見もしてってよ」
    「マジっすか!やったー!よかったっすねー燐音くん!食後のデザートにいただきましょ!」
    「……マジで?」
     大喜びするニキとは対象的に本当に口にしていいのか分からない見た目に燐音は怯む。 不穏な色合いと無数の触手や目玉の生えたマフィンはみかが所有しているぬいぐるみがモチーフらしい。
    「見た目はヤバいっすけど、味はいいんっすよ?」
    「……ニキがそう言うんなら……」
     燐音は不安そうに凛月のマフィンを口に運ぶ。
    「…………美味い」
    「でしょ~!」
     自分が作ったわけでもないのにニキはニコニコと燐音に笑顔を向ける。美味しいものを他人と共有できるのが嬉しいからだ。
     そしてその見た目から食べて貰う事を敬遠されがちな凛月のお菓子がこうして認められた事で凛月の気分も上がる。ただ、凛月は純粋に自分の作ったお菓子を食べて貰えたという事の他に別の感情が見えていた。それはコメントをするリスナーも同じだったのだろう。
     流れてくるコメントは凛月のお菓子のグロテスクさに対してのものが多いが燐音とニキの仲に関するものも多い。

    『なんだかんだいってオムライス作ってる』
    『燐音くんってニキくんの言うことは聞くんだ』
    『ニキは毒味係か何かなの?』
    『二人はどういう関係?Crazy:B気になってきた』
    『オムライス作ってんのうけるwwwツンデレかよwww』


    「見た?これが愛だよ……」
    「変な事言わないで欲しいっす!!」
    「だなァ、俺っち愛されてンなァ……」
    「やめて!凛月くんのファンに変な誤解与えるでしょ!!」

     誤解も何も、深夜に仲睦まじくキッチンに現れる辺りただならぬ関係ですと言ってるようなものだ。寮の部屋割は公表しているわけではないが各々のSNSで大体把握されている。そして今日燐音の同室である日和はEveの仕事で、奏汰は釣りロケで不在である事もファンには把握されている。そんな日の夜中に腹を空かせながらキッチンにやってくるのだ、いかにも同室者が不在の部屋にお邪魔してますと言っているようなものだ。ファンにいらぬ火種を注いでいるのは確かである。


     配信自体は凛月と共に同事務所繋がりという事で燐音とニキも同行してみかに差し入れをし、燐音がみかにウザ絡みをする場面も交えつつ凛月の配信は盛況に終わった。
     凛月の癒やしボイスを求め入眠したかった層にはやかましいパリピ乱入は少々不評だったようだがそれはまた別の話。
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