きみにほろよい部屋に入った瞬間、言葉を失った。
「け、京……?」
部屋の真ん中では部屋着姿の京が、膝を抱えてちょこんと座っていた。まるで小動物みたいで可愛い。のはいつものことだけど、異様なのはその周辺の光景だった。
「えっ、一人で飲んだのか…?」
京の周囲には、アルコールの350ミリ缶が6個転がっている。全て口は開いていて、空き缶のようだった。ほろ酔い気分を楽しめる、甘めの味の度数3%のアルコール。俺が最近風呂上がりのアイスの代わりにしようと買い溜めてあった6缶セットの中の1セットに違いなかった。
「うん、ひとりでのんだ」
赤い顔をした京は、ぽやぽやとした表情で、妙に嬉しそうに口を開いた。すごいでしょ、とでも言いたそうな口振り。アルコールのせいか、少し幼い感じになっているようだった。
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