煙月が晴れる リンクの上の氷層に乗ると神経が研ぎ澄まされると夜鷹はいつも感じた。そんな氷の上でしか生きられない自分だからこそ最近苛立つ瞬間が出来たのだ。滅多に他人に興味を抱かない夜鷹が最近気にする相手が今同じリンクで滑っている明浦路司だ。
アイスダンス出身の彼は他人から見て奇才があり、彼はメダルを取れる選手だと夜鷹は確信していた。だが彼は2シーズンを選手として過ごした後引退し、アイスダンスのオーディションを受けるも落ち続け、元パートナーに誘われ今結束いのりのコーチを受け持っいる。そして中部ブロックで金メダルを取らせた実績がありコーチに向いているが、夜鷹の気に入らない所は別にあった。
司を夜鷹の貸切リンクに誘うのはもう片手では数えられない程に誘い、夜鷹は毎回司を世間に出そうと奮闘する。
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