射抜かれて「…シオン、」
すっと目を細めてカイが俺を見つめてきた。
これまでの戯れのような触れ合いではなくもっと先を匂わせて。
─この瞬間が苦手だ。
空気が色めいて、捕まえられるような視線で射抜かれて、それだけで心臓が煩く騒ぎ出すから。
思わず顔を背けると顎を捕らえられる。
「こっち向けよ、キスできねーだろ」
「~~!!」
「なんだよその顔」
睨み付ければふっと笑って返された。
こいつは本当に腹が立つ。
腹が立つ、のに。
魔術でもかけられたみたいに動けなくなって、喧しい心臓の音が響くなか、どうしようもなくなる。
キスできない、などと宣ったくせに顎を捕らえた指先は唇へと滑り、舌をなぞった。
「は……っ」
今度は視線をそらせなくなり、カイの瞳が色づくのを見つめながらされるがままになる。
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