蒼玲(2)コンコンコン
「失礼します」
普段開けっぱなしのドアが閉まっていることから、誰も居ない…か、会議中だ。話し声がないかと耳を済ましつつドアを開けてみるも、中には誰もいない。
「……留守…、まぁお昼だしな…」
中に入って壁にかかっている行動予定表をチラッと盗み見てみても、そこには名前があるだけで何も書かれておらずキレイなままだ。
(えっと…服部さんは…)
「泉?」
後ろから声がした方向に振り返ると、そこには蒼生さんが立っていた。手には缶コーヒーと文庫本。
「そぅ…、荒木田さん、お疲れ様です」
「お疲れ。どうした?耀さんに用事か?」
「はい、お届けものです。…そ…、荒木田さんはひょっとしてお昼終わっちゃいました?」
「あぁ、夏樹が戻ってきたら昼イチで出るから」
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