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    kiichigobambi99

    @kiichigobambi99

    呪術廻戦、ハイキュー、ヒロアカ、ツイステ、スタマイなど…の2次創作イラストを描いています。ジャンル分けはしていないので色々飛び交います。

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    kiichigobambi99

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    蒼生さんハピバ!

    蒼×玲 お付き合い後設定です。

    #蒼玲
    blue-greenTingedWithGrey
    #スタマイ
    stamae
    #ドラマト
    dramatist

    蒼玲(2)コンコンコン
    「失礼します」

    普段開けっぱなしのドアが閉まっていることから、誰も居ない…か、会議中だ。話し声がないかと耳を済ましつつドアを開けてみるも、中には誰もいない。

    「……留守…、まぁお昼だしな…」

    中に入って壁にかかっている行動予定表をチラッと盗み見てみても、そこには名前があるだけで何も書かれておらずキレイなままだ。

    (えっと…服部さんは…)

    「泉?」

    後ろから声がした方向に振り返ると、そこには蒼生さんが立っていた。手には缶コーヒーと文庫本。

    「そぅ…、荒木田さん、お疲れ様です」
    「お疲れ。どうした?耀さんに用事か?」
    「はい、お届けものです。…そ…、荒木田さんはひょっとしてお昼終わっちゃいました?」
    「あぁ、夏樹が戻ってきたら昼イチで出るから」
    「そっかぁ。残念。もう少し早くきたらよかったな」
    「…帰り、迎えに行く」
    「え?外出なら遅くなるのでは?…いいんですか?」
    「無理そうなら連絡入れる」
    「へへ、分かりました!」
    待ってますね、と言いかけたところで奥の方から「あれ、マトリちゃん?」と緩い声がした。

    「あ、服部さん、お疲れ様です。これ、関さんからです」
    「あぁ、どうも」

    服部さんは私の手から資料の入った封筒を受け取ると、元居たであろう場所へ戻って行った。

    「…お邪魔しちゃいましたかね?」

    と隣の蒼生さんをチラリと見上げてみる。

    「いや、あんなもんだろ」

    コーヒーを一口飲みながらそっけなく言う蒼生さんに笑いつつ、時計を確認する。

    「じゃあ、私は戻りますね。そ…、荒木田さん、無理はしないでくださいね?」
    「ん、」
    「では」
    「ん、」

    …蒼生さんの返事が離れ難いと言ってるようで。
    そんな返事をされたら私はますます離れ難い。…上手く時間が合えばお昼一緒に行けるかなー、と考えていただけに余計に。

    「下まで送る」

    蒼生さんはそう言うと手に持っていた缶コーヒーと文庫本を自席まで置きに行った。

    「…へへ、ありがとうございます」
    「いや…」

    照れ隠しか、黙ったままの蒼生さん。

    下りのエレベーターがやってくると、蒼生さんはドアを遮り、私に先に乗るようにと促す。
    いつも私の少し斜め後ろに蒼生さんは立ってくれる。
    でも、今日は…。
    この箱の中に私たち以外誰も乗ってないからか、ぶらんと下がった私の指先にそっと触れた。
    「!そ…、荒木田さん…」
    「なぁお前、わざわざ言い直さなくてもよくないか?」
    「へ?」
    「…名前」
    「え?」
    「さっきから、言い直してるからちょっと気になった。うちの課、みんな下の名前呼びだから、お前が名前で呼んでても違和感ないし…、それに…付き合ってるの、隠してる…わけじゃないし…」

    語尾がだんだん小さくなっていくのと同時に蒼生さんの顔は赤く染まっていく。

    「…いいんですか?揶揄われません?」
    「もう揶揄われてる」
    「ふふ、そっか。じゃあ、私のことも、」
    「それは無理だ」

    …食い気味に言われた。
    私がそう言うのを想定していたのだろう。さっきは語尾が徐々に小さくなって照れてたのに真逆の強さで。

    「呼んでくれないんですか?」
    「…ココでは無理だ」
    「菅野くんは呼んでるのに?」
    「アイツと一緒にするな」

    ここでは無理、ということは、蒼生さん的にそこが仕事とプライベートの線引きのひとつなんだろう。
    触れてる指先を絡めてみると、きゅっと力が込められる。

    「じゃあ、蒼生さんが名前で呼んでくれたら、そこから先はプライベートの時間ってことでいいですか?」
    「…あぁ、」
    「名前は呼ばないのに、思いっきり職場で手を繋いでますけどね」
    「いいんだよ、今は2人だし」
    「屁理屈…」

    もうすぐ1階へ到着する。

    「じゃあ、帰り迎えに行くな。…玲」
    「!!」
    「…なんか言えよ」
    繋いだ手をくん、と全然痛くない力で引っ張られる。
    「ズルい、ズルイです!蒼生さん…」
    「真っ赤だな」
    余った片手で顔を隠しても隠しきれない。
    それでも笑ってくれてる蒼生さんを見れるのはとても嬉しい。
    「…もぅ、」
    口だけ尖らせて抗議してみる。
    「お迎え、嬉しいですけど、無理はしないでくださいね」
    「あぁ」
    繋いだ手をもう片方の手で包む。
    「無茶もしないでください」
    「!」
    「…蒼生さん?顔赤いですよ?」
    「〜っ!」
    赤くなった蒼生さんを笑っていると1階へついてしまった。
    …繋いだ手が離れる瞬間が、いつも寂しい、と思ってしまう。それは蒼生さんも同じなようで、指先にきゅっと力が込められ、そっと離れる。

    「蒼生さん、送ってくださってありがとうございました」
    「あぁ、気をつけてな」
    「はい。蒼生さんも」

    名残惜しい昼休み。
    でも、今日はお互いにこのまま何もなければ帰り道も一緒。帰ってからも一緒だ。今は名残惜しいけど、楽しい時間はまだまだたくさん待ってるんだ。

    「さ、お昼食べて戻ろーっと」

    エレベーターでの時間は思いのほか私を十分に満たしてくれていた。


    一方…。
    「おかえり、蒼生。ワンコのお見送り、充実してたようでなにより」
    「!、ぃゃ……ぅス」

    魔王様のその一言で耳まで真っ赤になる蒼生さんの話は私はまだ知らない。

    (…一瞬で耀さんに見破られるなんて、そんなにデレデレした顔してるのか?オレは…)

    「蒼生、」
    「はい」
    「顔じゃあなくて、空気だよ」
    「………ぅス」
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