蒼×玲(1)※玲ちゃん視点蒼生さんとお付き合いを始めてからしばらく経った。
一応、私なりの蒼生さんの取説が少しずつ出来上がっている。
感情を表に…というか、周囲に本音を見せまいとして生きてきた彼は、どこか言葉足らずのところがあり、それが周囲の誤解を生んだりしているのだけれど…。
「玲、」
名前を呼ばれ、目が合うとすごく優しく笑っているし、纏ってる空気は優しく、ホワホワしてるしで、どうしようもなくこっちがドギマギさせられる。
もうちょっと自分の破壊力を自覚してほしいものだ。
ちゅ、と一度唇が触れると何度か軽く啄まれる。
と、同時に私の手に軽く触れてくる。
握るでもなく、指を絡めるでもなく、ただそっと触れるだけ。すごく繊細な飴細工に触れるかのように。
それらの行為全てで蒼生さんの気持ちも一緒に流れてくるように思えて、私は蒼生さんとのキスがすごく好きだ。
心臓がキュッと掴まれる、この感じが好きだ。
「蒼生さん」
「ん?」
「…好きです」
「!」
「大好き」
蒼生さんの唇から流れてくる気持ちにちゃんと私は応えられているのだろうか、と過ぎってしまいキスとキスの間にどうしても伝えてたくなってしまった。
「…ちゃんと伝わってる」
「そっか…それはよかったです」
唇は触れたままでの会話。
どこまでも2人を纏っている空気が甘い。
私の思っていたこともちゃんと拾ってくれる、そんな蒼生さんが
「大好き…」
2度目の大好きは声に出ていたのか、頭の中で思っていただけなのかわからないけど、少しの熱と強さを持った唇が答えのようだ。