「ここはどこだい??」
真っ白な部屋で目覚めたブリュレは困惑していた。目覚める前の記憶が曖昧で自分がここにいる理由に見当がつかない。ただ、自身が誰かは認識出来ていたので、恐らくビッグ・マム海賊団に楯突いた命知らずの何者かに自分は囚われていると予想は立った。
「はぁ、またドジっ子だなんだって言われちまうよ」
両の拳を振るわせながらバツが悪そうな顔で立ち上がって周囲を見渡す。無限を想起させる単色の空間だが目を凝らせば遠くに壁といくつかの扉が確認でき、自分の背後にも“シャワールーム”のプレートを掲げる扉があった。
「にしても…デカいベッドだね……」
幾つか設置されている家具の中、何より目を惹くのは部屋の中央に堂々と鎮座する特大サイズのベッド。
「お兄ちゃんがうんと足を伸ばしても余裕が有りそ…」
ベッドのインパクトですぐに気付かなかったが寝台の向こうに人間の足が見える。滑車の付いた黒い…皮の…!ブーツの!!
「お、おにいちゃぁぁぁああん!!?」
見覚え有り過ぎる靴に慌てて駆け寄るとうつ伏せでカタクリが倒れていた。姿勢の問題で呼吸はやや苦しそうだが、脈は安定し外傷も無い。ホッと胸を撫で下ろして兄を揺すり起こす。
「っ、ブリュレか……ここは何処だ?」
「アタシにも何がなんだか…」
カタクリが立ち上がった時、二人の耳に声が響き始める。
『ようこそ我が能力へシャーロット家のお二人さん!』
警戒し身構えるも、音の発生源は分からない。
『おれはウスウスの実のご都合展開人間!!薄い本を厚くする能力を持っている!その部屋はおれが創り出したもので、課題をクリアするか能力を解除しなければ出る事は出来ねぇ!!』
「お、お兄ちゃん、どうしよう……」
『おれ自身もどんな部屋になるか分からねぇのが欠点だが、最後の1人しか出られない部屋、100回S●Xをしないと出られない部屋、パンスト相撲をしないと出られない部屋とどれも地獄の様相だったぜ!!』
「いや最後しょうもなっ!!」
『ビッグ・マムの子供に手を出すなんざ自殺行為だと分かっている。だが2年前に麦わらがインペルダウンで大暴れし、頂上戦争でキャプテン・バギーが男の生き様を示してくれて目が覚めたんだ』
『生きてる限り夢はド派手に!!!エロ同人は分厚く!!!!』
「刹那に生き過ぎだろ!!なんて奴を野に放ってくれてんだ麦わらぁ!!!💢」
(聞いたことがある。図鑑にこそ載ってねぇが、スケスケの実と並ぶ男海賊に語り継がれる悪魔の実…実在したのか)
「お兄ちゃんも何か言ってやってよ!!」
「あ、ああ」
「お兄ちゃん?!」
『説明は終わりだ!テーブルにある紙を捲ってみろ!お願いだからグロ展開じゃありませんよーに!!!!』
「てめぇも振り回されてんじゃねぇよ!!」
男の呆れるスピーチを聞き、カタクリはベッドサイドのテーブルに置かれた紙をペラリと捲った。
【お腹いっぱいドーナッツを食べないと出られない部屋】
「「『………』」」
『…あ、あの…すみませんでした!!!』
その後、世界の何処かに例の実がリポップしたとかしなかったとか…。