縁知るもの資料館の片隅に展示されたものに、少年は惹かれるようにして目を留めた。
光を反射して煌めく刃、少し傷があるものの精巧に造られた長めの柄。古い武器であるそれは刀ではない。名称には鉾と記載があるが、展示されたそれは、少年の知っているものよりも数倍の大きさがあった。
展示物の隣に置かれた説明書きを見る。普段ならば流し見すらしないのに、何故かこの鉾にはとても興味を引かれた。資料館の記述によれば、ここから少し離れた場所から発掘されたものらしい。 戦国時代のものと推定されており、大人三人がかりで持ち運びされるほど重く、用途は不明とされている。
何故だか面白くなくて思わず手を伸ばした。それは本来、このような場所に飾られるものではないと思ったからだ。
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